【焦点】資源エネルギー庁:分散型電源にJC-STAR★1取得を要件化、太陽光・蓄電池は2027年4月から段階適用

資源エネルギー庁は、太陽光発電や蓄電池などの分散型電源に使用する通信機器について、IoT製品のセキュリティラベリング制度「JC-STAR」の★1取得を系統接続の要件に加える。一般送配電事業者が定める系統連系技術要件を2026年度内に改正し、2027年4月以降、対象設備に新たに設置または交換するIP通信機能付き機器にJC-STAR★1取得製品の使用を求める。
対象となる機器は、PCS、BMS、EMSなどの出力制御装置、遠隔監視装置、ゲートウェイのほか、主要な制御システムやモジュールと通信接続するIoT機器。太陽光発電と蓄電池では、特別高圧・高圧設備に2027年4月から適用し、低圧設備には流通在庫などを考慮して同年10月から適用する。風力発電は2027年4月から、燃料電池は2028年4月からの開始を予定する。
風力発電では、ウインドファームと外部通信をつなぐゲートウェイのファイアウォールなどを当初の対象とする。燃料電池では、給湯器リモコンやエネファーム内のPCSなど、外部通信との接点となる機器が対象に含まれる。
背景には、分散型電源の普及に伴うサイバー攻撃リスクの高まりがある。国内では2024年5月、太陽光発電設備向け遠隔監視機器約800台が攻撃を受け、インターネットバンキングの不正送金の踏み台として悪用された。海外でも変電所や配電網の通信設備を標的とした攻撃が発生しており、電力の安定供給を支える機器ごとの対策が課題となっている。
従来は50kW以上の事業用電気工作物について、電気設備の技術基準に基づくサイバーセキュリティ確保が求められてきた。一方、50kW未満の小規模太陽光発電設備には、サイバーセキュリティに特化した明確な技術基準が限られていた。今回の要件化により、設備規模にかかわらず、系統に接続する通信機器へ最低限の防御水準を求める枠組みを整える。

■既設設備は遡及対象外、交換や増設時に新要件
新たな要件は、原則として2027年4月1日以降に一般送配電事業者が契約申込みを受け付けた案件に適用する。契約申込みの受付には、申込書類に不備がないことに加え、保証金の入金が必要となる。接続検討の申込みや回答が完了していても、契約申込みの受付が施行日以降となった場合は新要件の対象に入る。
2027年3月末までに契約申込みの受付が完了した案件や、既設設備で使用中の機器には遡及適用しない。既存設備が直ちに系統接続できなくなることもない。ただし、施行後にPCSやEMSなどの対象機器を交換する場合、同一機種への交換であっても軽微な変更とは扱わず、接続検討の申込みが必要となる。
既設の太陽光発電設備などに蓄電池を増設する場合は、増設部分の対象機器にJC-STAR★1取得製品を使用する。交換や変更を行わない既設機器については、取得製品への更新を求めない。FIT認定設備を設備変更なしでFIP制度へ移行する場合や、卒FITを迎える場合も新要件の対象外となる。一方、FIP移行や卒FITに合わせてリパワリング、リプレース、蓄電池増設を実施する場合、更新・増設する対象機器に新要件が適用される。
売電を行わない完全自家消費型設備も、系統に連系している限り対象となる。IP通信を実際に使用していなくても、通信機能を備えた機器は外部接続や内部ネットワーク経由の攻撃リスクが残るため、JC-STAR★1取得が必要となる。IP通信機能を持たない機器は制度の対象外となる。
既設設備で故障したPCSのみを交換する際、最新機器と旧型PCSや変圧器との互換性がなく、設備全体の交換が必要になるケースも想定する。こうした過度な負担が発生する場合は、一般送配電事業者への相談と計画書の提出を条件に、JC-STAR★1未取得の同類型製品を当面使用できる例外措置を設ける。
計画書には、取得製品への交換が難しい具体的な理由、設備全体を更新して対象機器を取得製品に切り替える時期、それまでに実施するサイバーセキュリティ対策を記載する。2026年3月末までに締結した延長保証や、事業継続用に保有する交換部品が取得製品に対応していない場合なども、例外措置の想定例に挙げた。
資源エネルギー庁は、電力制御システムのサプライチェーン・セキュリティ対策の手引き、リスク点検ガイド、対策状況可視化ツールの活用も促す。新設・更新時の製品要件と日常的な点検を組み合わせ、分散型電源を含む電力システム全体の防御力向上につなげるとしている。

【出典】
▷電力分野のサイバーセキュリティについて|資源エネルギー庁
※掲載画像は公表資料またはホームページからの引用です。