【独自】SMART ENERGY WEEK【関西】2024 ミニレポート:関西エリアの脱炭素化の現状は?
SMART ENERGY WEEK【関西】2024が11月20日~22日にインテックス大阪で開催された。カーボンニュートラルを実現する最新技術が一堂に集結。例年春に開催される東京会場よりも関西エリアの展示会は閑散としている傾向にあるが、3日間合計の来場者数は14,393名と、脱炭素推進を図らんとする事業者を中心に関係者が足を運んだ。出展企業からは「案内用のチラシやパンフレットの配布数が例年より多い」と所見を述べていた。
カンファレンス・セミナーでは脱炭素経営、水素エネルギー、太陽光発電、蓄電池、サーキュラー・エコノミーなど開催地である関西ならではの取組が紹介された。今回は関西エリアの脱炭素化の現状についてフォーカスする。
大阪府における温暖化の状況と脱炭素化推進の取組みについて、2日目に行われた特別講演で大阪府環境農林水産部の土屋俊平 環境政策監が解説。過去100年間の気温上昇率について「大阪はヒートアイランド現象の影響により世界(0.76℃上昇)や日本(1.35℃上昇)の平均より早く2.0℃上昇している。2100年の平均気温は1990年代に比べ約2.8℃上昇すると予測されている」と指摘。
農林水産業や自然生態系においても影響が出てはじめ、熱中症による緊急搬送人員も増加傾向にあるという。温室効果ガス排出の抑制などを行う「緩和」を最大限実施し、気候変動の影響による被害を回避し、和らげていく方針を話す。
脱炭素に資する産業ポテンシャルは大きい。大阪府商工労働の多田一也 産業創造課長は関西圏のリチウムイオン電池生産拠点や水素関連分野への参画状況を紹介した上で「来年開催される大阪万博を皮切りに脱炭素社会だけでなく未来社会を実現していく」と熱い想いを語っていた。
大阪府地球温暖化対策実行計画では「2050年二酸化炭素排出量実質ゼロへ。2030年度の府域の温室効果ガス排出量を2013年度比で40%削減していく」との目標が掲げられている。国の排出係数を用いて再計算すると「府の目標値は46%を超える」という。実現に向けて「おおさかカーボンニュートラル推進本部」等を設置し府内横断的な施策が推進されていく。
〔参考〕
▷大阪府地球温暖化対策実行計画(区域施策編)
▷ふちょう温室効果ガス削減アクションプラン(大阪府地球温暖化対策実行計画(事務事業編))
最終日には経済産業省 近畿経済産業局 内橋研策 資源エネルギー環境部次長、環境省 近畿地方環境事務所 鈴木啓太 環境対策課長が登壇。我が国全体のエネルギー政策を解説した上で、関西エリアにおける中小企業などへの手厚いサポートや取組事例が紹介された。「地域脱炭素化を実現するうえで太陽光発電・蓄電といった自家消費の導入ポテンシャルは高い。経済メリットが大きく投資回収も可能。重点加速化事業における補助金等をうまく活用してほしい」と語っていた。