【ゼミ】Jinko Solar × XSOL:太陽光の競争軸は「発電量・安全性・施工性」へ、合同セミナーに100人超―新型モジュールからJC-STAR対応、陸屋根施工まで徹底解説

ジンコソーラージャパンとエクソルは10月9日、東京都内で合同セミナーを開催した。ラプラス・システムをゲストに迎え、会場には100人を超える業界関係者が参集。最新太陽電池モジュールの発電性能、遠隔監視・制御システムのサイバーセキュリティ対策、陸屋根向け架台の施工技術をテーマに、3社がそれぞれ最新動向を紹介。太陽光発電設備の評価軸が、モジュールの出力や価格だけでなく、実際の発電量、安全性、施工・維持管理の効率へと広がる市場環境を映し出した。
■ジンコソーラー:新型「Tiger Neo 3.0」受注30GW突破、国内実証でも発電量増加
最初に登壇したのはジンコソーラージャパン。世界累計250GWを突破している主力のN型TOPConモジュール「Tiger Neo 3.0」を紹介した。
中国本社のジンコソーラーは、2006年設立の世界大手太陽電池メーカーで、今年設立20周年を迎える。世界約200カ国・地域に製品を展開し、2026年6月末時点の太陽電池モジュール累計出荷量は世界初となる420GW超に到達。2025年の年間出荷量は約86.8GWで、世界出荷量首位を通算7回獲得するなど市場を牽引してきた。研究開発にも注力し、世界で5700件以上の特許を保有するほか、N型TOPCon関連だけで700件以上を取得している。
日本市場には2013年に参入し、2019年から2025年まで7年連続で国内出荷量1位を獲得。年間1GWを超える出荷規模となり、現在の国内累計出荷量は10GWを突破している。

最新製品「Tiger Neo 3.0」は発売から約10カ月で世界累計受注量30GWを突破し、従来製品からの切り替えが想定以上の速度で進んでいるという。
同製品は、同じモジュール寸法で出力を20W以上高めるとともに、出力温度係数を従来のマイナス0.29%/℃からマイナス0.26%/℃へ改善。両面受光率も85%±5%に高め、低照度時や高温環境下での発電性能を向上させた。年間出力劣化率は0.35%以内とし、長期運用における発電量の確保を訴求する。
講演では実証試験の結果も紹介。中国・海南省で実施した同出力のN型バックコンタクト(BC)方式との比較では、容量当たり累積発電量が2.38%増加した。国内でも鹿児島県で2026年8月から比較試験を実施し、9月19日時点で1.59%高い発電量を確認したという。特に朝夕など日射量が少ない時間帯の発電性能を強みとし、定格出力だけでなく実発電量に基づく製品選定の重要性を強調した。

技術開発では、N型TOPConとペロブスカイトを組み合わせたタンデムセルで変換効率34.82%を達成したことも報告。次世代技術の開発と量産モジュールの高効率化を並行して進める方針を示した。
■ラプラス・システム:2027年のJC-STAR対応を解説、遠隔監視・制御の安全性が焦点
続いてラプラス・システムが、IoT製品のセキュリティ適合評価制度「JC-STAR」と遠隔監視・制御システムへの対応を解説した。
同社は1990年設立、京都市に本社を置くソフトウェア開発企業。1997年から太陽光発電の計測・表示システム「Solar Linkシリーズ」や発電シミュレーションソフト「Solar Pro」を展開し、現在は蓄電池や小型風力など再生可能エネルギーの計測・制御にも事業領域を広げる。2026年7月末時点でモニタリングシステムの累計導入実績は10万1000件、25.1GWに達し、デジタルサイネージも累計6900件の導入実績を持つ。

JC-STARは、IoT機器のセキュリティ対策を共通基準で評価・可視化する制度で、2025年3月に運用を開始。★1から★4までの水準を設け、★1では基本的なアクセス制御やパスワード管理、通信の保護などを求める。
2027年4月から特別高圧・高圧設備、同年10月から低圧設備において、対象となるIP通信機器に★1適合品の使用が求められる予定。PCSやEMS、遠隔監視・出力制御装置などが対象となる。
既設設備への一律の遡及適用はないものの、制度適用後の蓄電池増設やPCS・監視装置の更新では対応が必要になる。系統連系の契約申込みの受付時点が適用判断に関わるため、事業計画段階から機器の適合状況を確認する重要性を指摘した。
同社は小型計測・制御端末「Solar Link ZERO T4/T5」でJC-STAR★1適合ラベルを取得。初期パスワードの変更の要求、通信の暗号化、ログイン試行回数の制限などを実装した。複数メーカーのPCSに対応する接続性も強みとし、既設発電所の更新や蓄電池導入を含むエネルギーマネジメント需要への対応を進める。

■エクソル:陸屋根向け「X-3」累計1797件、穴を開けない施工で導入拡大
最後にエクソルが、陸屋根向け架台「X-3」を中心とする施工ソリューションを紹介した。
同社は2001年設立で、今年25周年を迎えた太陽光発電の総合企業。東京に本社を設け、太陽光関連機器の販売、設計・調達・建設(EPC)、運用・保守(O&M)、独自製品の開発を手掛ける。
2026年5月期の売上高は345億円、太陽電池モジュールの累計販売容量は3.9GWを突破。直近3期平均でシステム施工が年間約1000件、メンテナンスが年間約2200件に上り、機器供給から施工、維持管理まで一貫した事業体制を構築している。

政府は公共施設への太陽光導入率を2030年に約50%、2040年に100%とする目標を掲げ、学校や公共施設、商業施設などの陸屋根への設置拡大が見込まれる。こうした需要に対応する同社オリジナル製品が、2017年に発売した陸屋根用置き基礎架台「X-3」である。
X-3は、置き基礎を両面ブチルシートで防水層に接着する独自構造を採用。屋根に穴を開けずに太陽電池モジュールを設置でき、従来のコンクリート基礎による重量負担やアンカー打設に伴う雨漏りの懸念を軽減する。設置角度3度の低背構造と「さざ波設置」により、モジュール同士の影を抑えながら限られた屋根面積を有効活用する。
独自の「インサートロック方式」により風圧や積雪に対する耐荷重性能を高め、設置条件に応じた施工方式も提案する。2026年5月末時点の販売実績は累計1797件、約47MWに達し、公共施設向けでは40以上の自治体で計500件以上の実績がある。千葉市が小中学校や公民館など182施設で進めた再生可能エネルギー導入事業でも採用されている。

一方、置き基礎では対応が難しい強風地域や高層建築物向けには、アンカー固定式の陸屋根架台を展開。設備導入時だけでなく、長期運用における維持管理費の低減まで見据えた提案となる。
今回のセミナーでは、発電性能の向上、通信・制御の安全性、建物に応じた施工技術という3つの課題に焦点が当たった。太陽光発電の普及が進むなか、発電量を確保しながら安全に長く運用できる設備設計が、事業者や施工会社の競争力を左右する要素となりそうだ。

〔参照〕
▷Jinko Solar
▷ラプラス・システム
▷XSOL
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