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【ゼミ】新日本住設&ネットデータ:「土地探し」と「アフター」を抱え込まない、工務店の収益構造を変える“入口と出口”戦略とは?

2026.10.03

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住宅会社が当たり前のように抱えてきた「土地探し」と「アフター対応」を見直すことで、収益力を高める――。ネットデータと新日本住設は10月1日、ハウスメーカー・工務店向けオンラインセミナー「倒産社数急増時代 儲かる会社が辞めた“たった2つのこと”」を開催した。

資材価格や人件費の上昇、住宅取得層の減少、金利上昇など、住宅業界を取り巻く経営環境は厳しさを増している。セミナーでは、住宅受注の「入口」に当たる土地探しをデータ活用で効率化する方法と、引き渡し後の「出口」であるアフターサービスを外部との連携によって収益機会に変える方法を紹介。フロー型の新築受注だけに依存せず、既存顧客から生まれるストック収益も含めた経営モデルへの転換を提起した。

■土地は「探す」のではなく、データで顧客を導く

第一部では、ネットデータ取締役の山本淳志氏が「過去7年以上の事例で説得力を底上げするMAP型営業術」をテーマに講演した。

住宅営業で大きな課題となるのが、土地を持たない顧客への対応だ。顧客自身が不動産ポータルサイトなどを日常的に閲覧する現在、営業担当者より顧客の方が販売中の土地情報に詳しいケースも少なくない。希望する土地が見つからなければ検討期間が長期化し、建売住宅や中古住宅などへ流れる可能性も高まる。

山本氏が重視したのは、営業担当者が単純に土地を「探してあげる」ことではなく、豊富な情報を根拠に顧客の意思決定を導くことだ。

具体的には、①現在販売中の土地に希望条件を満たすものがあるか、②なければ過去の売出情報まで遡って同条件の土地が存在したか、③過去にも存在しなければ条件そのものを見直す――という順番で整理する。

予算、面積、場所のうち、予算を大幅に増やすことは難しい。住宅建築に必要な面積にも一定の目安がある。このため現実的には「場所」が調整しやすい。過去の取引情報を示し、「このエリアでは過去1年間を見ても希望条件の土地が出ていない」と可視化できれば、単なる営業トークではなく、データを根拠にエリア変更を提案できる。

同社の不動産情報ツール「土地BANK」は、一般公開されている不動産情報を全国から毎日収集し、地図上で表示する。現在の売出物件だけでなく、蓄積した過去8~9年程度の情報も確認できるほか、公示地価や市場価格、路線価なども参照できる。

山本氏は「販売中の情報だけでなく、過去の情報を交えて話すことが大切」と説明。情報収集そのものを効率化し、営業担当者は顧客との対話や条件整理に時間を使うべきとの考えを示した。

■「OB客だから戻ってくる」は通用しない

第二部では、新日本住設の経営企画部長、伊藤匠氏が「高収益化と顧客満足度を同時に実現するアフター戦略」を解説した。

伊藤氏は住宅会社の経営を圧迫する要因として、集客・営業、資材仕入れ・商品設計、人材確保、資金調達の「4つの壁」を挙げた。新築市場だけでこれらを一気に解消するのは難しく、引き渡し後のOB顧客との関係をどう事業化するかが重要になるという。

一方、「自社で建てた顧客だから、リフォームも自社に頼んでくれる」との考えには注意が必要とした。伊藤氏は国土交通省の調査として、新築した会社に再びリフォームを依頼する割合が15%を下回るデータを紹介したほか、新日本住設が築浅住宅を点検した際にも、引き渡しから半年程度で太陽光発電など他社商材が設置されている住宅が一定数あったと説明した。

顧客は引き渡した瞬間から、太陽光発電、蓄電池、住宅設備、外壁、屋根、リフォームなどを販売する他社の営業対象になる。OB顧客名簿を持っているだけでは「ストック」にはならない。

そこで同社が提案するのが、アフター業務の外部連携だ。住宅会社が点検や顧客対応のために人員を抱え込むのではなく、専門事業者に一定の業務を委託する。住宅会社側は固定的な人件費や運営負担を抑えながら顧客接点を維持でき、点検を起点に太陽光発電や蓄電池、住宅設備などの需要が生まれれば収益にもつなげられる。

■コストセンターから「利益を生むアフター」へ

新日本住設では、半年、1年など一定の間隔を設けながら最長10年間にわたり定期点検を実施。外回りや住宅設備など20~30程度の項目を確認し、不具合への助言や設備の使い方、光熱費削減などを提案する。

目的は商品を売ることではなく、継続的な接点を持ち、必要になったタイミングで相談先として選ばれる状態をつくることにある。その結果として商材の成約につながった場合、提携する住宅会社にも利益を還元する仕組みを採る。

事例として紹介した住宅情報館とは約8年間にわたり取り組みを継続。直近4年間では、点検などから商談につながった顧客のうち契約に至るケースを積み上げ、関連売上高は約17億円になったという。現在、新日本住設が同様の取り組みを展開する住宅会社は約300社、年間の点検対応件数は7000~8000件に上るとした。

土地探しもアフターサービスも、住宅会社にとって重要な顧客接点であることに変わりはない。一方、すべてを人手で抱え込めば、人材不足のなかで固定費と業務量は膨らむ。

今回のセミナーが示したのは、「やらない」のではなく「やり方を変える」という発想だ。土地情報の収集はデータとツールに任せ、営業は顧客の意思決定を支援する。アフター対応は専門事業者との連携を取り入れ、住宅会社は顧客との関係と収益機会を確保する。

新築住宅を1棟ずつ販売するフロー型の経営から、蓄積した顧客との関係を継続的な収益につなげるストック型の経営へ。住宅市場の縮小とコスト上昇が同時に進むなか、「何を自社で持ち、何を手放すか」が住宅会社の収益構造を左右する局面に入っている。

〔参照〕
▷土地バンク
▷新日本住設