【対談】EMソリューションズ × Neat Engineering:再エネ普及に新たな難問 「高圧受電設備(キュービクル) 需給逼迫」問題 ―海外トランス活用で供給網を再構築、脱炭素インフラのボトルネックを解消―

Neat Engineering ⻑江 洋明 社長とEM ソリューションズ ⽔越 隆 執⾏役員 (右)
再生可能エネルギーの導入拡大と加速が叫ばれるなか、発電設備そのものだけでなく、それを支える高圧受電設備の安定確保が課題として浮上している。近年では系統用蓄電所建設などが進み、変圧器の大型化や高電圧化などにより、受変電設備(キュービクル)が需給逼迫、長納期化が進む。この新たな難問とも言うべき市況に対し、EMソリューションズとNeat Engineeringは、再エネ用キュービクルの安定供給に向けて業務提携を開始した、海外製トランスの活用を通じて新たな供給スキームを築くという。協業の背景と狙いとは。
■再エネ市場に即した供給体制をつくる
― まず、それぞれの事業内容を教えてください。
EM ソリューションズ 水越氏:
EM ソリューションズは、再生可能エネルギー導入のコンサルティング、開発、施工、販売を手掛ける総合エンジニアリング会社です。2024年3月に事業を開始し、太陽光発電や蓄電池、受電設備、BCP対策製品や現場向けソリューションなど、エネルギーに関わる領域を幅広く扱っています。
単に機器を供給するだけでなく、企画提案から導入、施工まで一貫して対応できるのが特徴です。「総合的なエネルギーマネジメントでお客様のカーボンニュートラル実現に貢献する」ことで、再エネ活用と電気・建築の技術を組み合わせながら、顧客課題の解決を図っています。
Neat Engineering 長江氏:
Neat Engineeringは、受変電設備・変圧器の専門家集団として、設計、輸入、販売、保守、関連機器の販売を手掛けています。2025年6月設立と比較的新しい会社ですが、日本で培った技術力と経験を土台に、海外パートナーの製品を組み合わせながら、短納期かつ良質な製品を提供することを強みとしています。
ミッションとして、エネルギーインフラを効率的かつ持続的に次世代へつなぐこと、海外の優れた技術と日本の技術を融合し再エネ社会の実現に貢献することを掲げています。低圧から33kVまでの受変電設備を対象に、省スペース、低コスト、短納期を訴求しながら、設計から品質保証、アフターサービスまでワンストップで担う体制を整えています。
― なるほど、両社とも、脱炭素とエンジニアリングを軸にした事業を進めているわけですね。
EMソリューションズ 水越氏:
そうですね。当社は再エネ導入や脱炭素経営の支援を広く担う立場にあります。足元の市場では太陽光や蓄電池の導入ニーズが高まる一方、実際に案件を進めるうえで受変電設備、とりわけ特殊トランスの長納期化が大きな壁になっています。
系統用蓄電所や自家消費型太陽光の計画があっても、受電設備が整わなければ前に進まない。設備側のボトルネックが、再エネ普及そのものの足かせになりかねない局面に来ていると感じています。
Neat Engineering 長江氏:
私も同じ認識です。再エネ分野では、太陽光パネルやPCSだけではなく、電力をきちんと受けて流すための受変電設備が不可欠です。ところが、そこに時間がかかると系統用蓄電所や太陽光発電設備の稼働に至るまでの事業全体のスケジュールが停滞してしまう。
私たちは、受変電設備や変圧器に特化した立場から、こうした課題をどう解決できるかを考えてきました。その結果、海外トランスを活用する今回のスキームを立ち上げることになりました。新しい会社だからこそ、既存の商習慣にとらわれず、海外メーカーとのネットワークを生かして柔軟に対応できる。若い会社として再エネ市場をもっと盛り上げたいという思いも込められています。
― 協業の背景には、やはり市場環境の変化があるのでしょうか。
EMソリューションズ 水越氏:
その影響が大きいです。日本国内では2030年のCO2削減目標に向け、自家消費型太陽光発電や系統用蓄電所の需要が急速に高まっています。その一方で、2026年度からトップランナー制度の変更などを背景に、再エネ用途の特殊トランスを中心とした高圧受電設備の納期が長期化している。
EPC事業者や発電事業者にとって、これは非常に重い問題と言えます。案件が増えるほど、受変電設備が足りなくなる。そこを何とかしなければ、案件を進めることができず日本の再エネ導入のスピードは上がらないという危機感が募っていました。
Neat Engineering 長江氏:
当社は、もともと受変電設備や変圧器に知見があり、ベトナムのメーカーとのネットワークも持っていました。そのため、受変電設備や電設資材の調達、設計、品質管理の面でどこに課題があり、どう組み直せば解決できるかを総合的に考えることができます。
一方、国内市場への展開力や再エネ案件への提案力はまだ成長途上にあり、その面ではEM ソリューションズの存在が大きい。両社の強みを掛け合わせれば、単なる仕入れ販売ではなく、再エネ市場に即した供給体制として成立すると考えました。

■海外製トランス活用で短納期化、再エネ向けキュービクルの国内供給を強化
― 今回、どのような製品を展開していくのでしょうか。
EMソリューションズ 水越氏:
今回の提携の柱は、ベトナムメーカー製トランスを活用した再エネ用キュービクルの国内供給です。再エネ発電システム向けの高圧受電設備として、品質を担保しながら短納期化を図るのが特徴です。
変圧器はIEC60076-1、低圧盤はIEC61439-2に準拠。300kVA から2000kVA超のクラスまで対応し、高電圧出力のPCSにも対応していきます。国内で不足感が強まるなか、海外トランス活用により供給の選択肢を増やせる意義は大きいと見ています。
Neat Engineering 長江氏:
当社の取扱製品としては、蓄電所向け受変電設備、太陽光発電所向け受変電設備、太陽光・蓄電所向け中間変電設備、データセンター向け受変電設備、自家消費太陽光発電所向け変電設備、さらに油入変圧器や昇圧トランスと低圧盤をパッケージにしたN-Pack™という製品など幅広く展開しています。
低圧から33kVまでをカバーし、案件の内容に応じた設計が可能です。今回の協業では、そうした受変電設備の知見を、再エネ市場向けの具体的な供給スキームとして形にしていくことになります。
EMソリューションズ 水越氏:
受電設備は単独の機器ではなく、再エネ導入全体の完成度を左右する重要な要素と見ています。太陽光発電設備、蓄電池などと組み合わせ、顧客の現場にとって最適なエネルギーシステムをどう構築するかが問われます。
今回の提携商品は、その中核を担う電力インフラとして位置づけています。単に「短納期の高圧受電設備」を売るのではなく、再エネ案件を止めないための現実的な解決策として提案していきたいと考えています。
― 協業によって、どのような価値を市場に示していきたいですか。
Neat Engineering 長江氏:
一つは、受変電設備の調達に対する見方を変えたいということです。国内だけで調達するのが当たり前という時代から、品質基準を守りながら海外製品も活用し、スピードと価格競争力を両立する時代へ移っている。
日本市場向けに丁寧に設計し、品質保証やアフターサービスまで含めて提供するのが私たちの役割です。海外技術と日本の技術を融合させることで、再エネインフラをより強くしたいと考えています。
EMソリューションズ 水越氏:
現場で本当に使える供給体制をつくることが重要だと考えています。再エネは導入意欲だけでは広がりません。施工、機器、設計、調達、保守まで含めて回る仕組みが必要です。
今回の提携は、その現実的な一歩です。国内市場の長納期化という課題に対し、調達とエンジニアリングの両面から切り込める体制を整えたことに意味があると思います。

■再エネ導入を支える受変電設備の安定供給に向けて
― 最後に、今後の抱負をお願いします。
EMソリューションズ 水越氏:
再エネの導入を進めたい事業者が、設備調達で立ち止まらずに済む環境を整えていきたいですね。太陽光や蓄電池、自家消費型設備の案件は今後さらに増えるはずです。
そのなかで、受変電設備の供給を安定させることは、再エネ普及に直結します。私たちは総合エンジニアリング会社として、提案から導入まで一貫して支え、脱炭素の実装を一段前へ進めたいと考えています。
Neat Engineering 長江氏:
両者は比較的新しい会社ですが、だからこそ機動力を生かし、再エネ分野に新しい風を吹き込みたいと思っています。受変電設備や変圧器の世界は、インフラを支える重要な領域でありながら、まだ改善の余地が大きい。若い力で市場を盛り上げ、日本の再エネ導入を下支えする存在になりたいですね。
スピード、品質、安定供給をそろえたソリューションを磨きながら、国内外の技術をつなぐハブとして成長していきたいと考えています。
― 再エネ業界に新しい風を、といったところでしょうか。ありがとうございました。

〔参照〕
▷EMソリューションズ
▷Neat Engineering
▷EMソリューションズとNeat Engineering、 再エネ用キュービクルの安定供給に向けた業務提携を開始
▷【特別対談】Neat Engineering 長江 洋明 社長と再エネ用キュービクルについての対談をさせていただきました
▷トップランナー変圧器 第三次判断基準 2026年度スタート