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【独自】日本テレネット&エコリンクス:京都府・市と住宅太陽光発電の共同購入支援事業で協定締結、再エネ標準化へ京都モデル始動

2026.05.25

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日本テレネット 宇野泰介 BPO事業部長とエコリンクス 福田孝弘 社長(右)

日本テレネットとエコリンクスが、京都府・京都市の住宅・事業所向け太陽光発電の普及を後押しする。両者は5月1日、京都府および京都市と「太陽光発電設備等共同購入事業」に関する協定を締結した。

協定期間は2026年4月27日から2027年6月30日まで。5月中旬から参加登録者の募集を始め、同月下旬から機器メーカー・施工会社の募集に入る。対象は京都府内の一般家庭で、購入プランは太陽光パネル、太陽光パネルと蓄電池のセット、蓄電池の3区分。事業者向けへの展開も随時協議していく。

■共同購入を「安く買う仕組み」から「地域実装の仕組み」へ

京都府・京都市は、2050年の脱炭素かつ持続可能な社会の実現を見据え、2040年度までに再生可能エネルギーの標準化を進め、地域活力の向上や企業価値の創出につなげるロードマップを掲げる。

今回の共同購入事業は、環境・経済・社会が好循環する地域づくりに向け、家庭や事業所への太陽光発電・蓄電池の導入を広げる施策に位置付ける。単なる設備販売ではなく、府民・市民、事業者、地域社会の三者に価値を生む再エネ導入基盤の整備を狙う。

共同購入事業は、太陽光パネルや蓄電池の購入希望者を府内全域で募り、スケールメリットを活かすことで購入しやすい機会を提供する制度。日本テレネットが事務局となり、グループ会社のエコリンクスと連携、参加者募集から施工、実績管理、報告まで一気通貫で運営する。

従来型の共同購入は「参加者を集め、施工会社につなぐ『販促支援』の色合いが強かった。今回の枠組みは、募集、提案、施工、導入後の管理までをつなぎ、自治体施策としての信頼性と、民間事業者としての実行力を組み合わせるモデルだ」という。

具体的には事務局が太陽光パネルや蓄電池などの資材を直接、一元管理する「材調達一元管理モデル」を採用する。一般的な共同購入は、選定された各施工業者が個別にメーカーから資材を仕入れるため、ロットの分散や在庫リスクが価格に転嫁されやすい。対して今回の提案モデルでは「事務局が資材流通の結節点となることで、余剰在庫を排除し、安定した低価格化」を実現する。

価格の透明性。事務局手数料を材料費に組み込み、その比率を一定にする。ブラックボックス化しがちだった「紹介料ビジネス」から共同購入モデルを進化させた。施工業者は過度な営業コストを負担することなく工事に専念でき、消費者は「誰が、どこで、いくら抜いているのか」という疑念からも解放される。

加えて「太陽光発電製品の選定においては、サイバーセキュリティの観点から『JC-STAR★1』取得製品の採用を検討している」と安全面にも配慮した。2027年4月以降、新たに系統接続される太陽光発電及び蓄電池については、系統連系技術要件において『JC-STAR★1』を取得した通信機能を有する制御システム(PCS、EMS等)の利用を要件化することが2025年12月のグリッドコード検討会にて決定している。低圧(50kW未満)に関しては在庫流通を考慮し、半年間の経過措置を経て2027年10月から適用される。

JC-STARとは、経済産業省とIPAが2025年に開始したIoT製品のサイバーセキュリティ対策レベルを評価・格付け(★1〜★4)するラベリング制度。あらゆる機器の通信リスク対策を目的に、安全な製品を「見える化」する。

導入検討のハードルを下げる工夫も施した。一般的なウェブ見積もりでは、初期段階から詳細な住所や電話番号の入力を求められることが多く、離脱の要因となっていた。同事業が導入する「3ステップ見積もり」では、第一段階(概算見積もり)において個人情報の入力を一切求めない。Googleマップ等のAPIを活用し、屋根の形状や世帯構成を選択するだけで、直感的にシミュレーション結果が得られる。「まずは知る。納得してから個人情報を明かす」という消費者の心理動向を突いた設計とする。「京都府内の脱炭素関連補助金も調査しWEB上に掲載することで情報発信と共に施主の導入ハードルを下げていく」と話した。

施工後のアフターフォローにも京都モデルが光る。施工情報を専用アプリで一元管理し、定期的なメンテナンスや不具合への対応をデジタル上で可視化する。設置から10年、20年という長期スパンで「地域に根差したエネルギー資産」を守り抜く体制を整える。

共同購入事業は、単に価格を下げるだけでなく、補助制度、設置条件、施工品質、導入後の相談まで含めた地域密着型の支援体制が重要となる。加えて住宅用太陽光発電は、初期費用、屋根形状、蓄電池の必要性、売電収入、自家消費効果、施工会社の選定など、消費者が判断しにくい要素が多い。

京都では、景観、建築条件、住宅密集地への対応など、地域特有の制約もある。共同購入を「まとめて安く買う制度」にとどめず、地域の制度知識と施工・保守の専門性を組み合わせることで、導入前の不安を減らし、普及の裾野を広げる。

日本テレネットは、FAX、Web、Eメール、電話など複数チャネルを活用したBPOやコンシューマー向け相談窓口、バックオフィス支援を手掛けてきた。顧客接点の設計や問い合わせ対応、デジタルと人手を組み合わせた運営に強みを持つ。

エコリンクスは、再生可能エネルギー事業の専門会社として、太陽光発電をはじめとする再エネ分野で、設計・申請代行などの発電所構築支援、発電監視、メンテナンス、人材教育を展開。エネルギーマネジメントシステムやIoEプラットフォームの開発、スマートメーター関連支援、環境価値の創出・マッチング、O&M・保守まで手掛ける老舗。

同社は、京都府が2016年度に始めた「京都再エネコンシェルジュ」認証制度の事務局を担っている。同制度は、府民が身近に安心して再エネ導入を相談できる専門家を育てる仕組みで、研修や試験を経て京都府が認証する。京都における再エネ普及には、制度理解と地域対応力は欠かせない。

参加者募集や相談対応、進捗管理など、住宅用太陽光市場で課題になりやすい「分かりにくさ」や「不安」を減らす役割が期待される。

■「非FIT時代」の住宅太陽光、京都モデルを全国展開へ

住宅用太陽光市場は、固定価格買取制度、いわゆるFITによる売電収入を前提にした普及期から、自家消費と蓄電を重視する段階に移っている。電気料金の上昇、災害時のレジリエンス需要、企業や自治体の脱炭素要請が重なり、太陽光発電は「売る設備」から「使う設備」へ性格を変えつつある。

非FIT時代における住宅太陽光の価値は、家庭内の電気代削減だけにとどまらない。自家消費を高めれば、電力系統への負荷を抑えながら、地域内で再エネを使う比率を高められる。蓄電池と組み合わせれば、昼間に発電した電気を夕方以降に使うことができ、停電時の備えにもなる。設備の集積は、地域全体で見れば脱炭素と防災力を支えるインフラとなる。

導入された太陽光設備から生み出される「非FIT電力」や「環境価値」を活用。複数の家庭から発生する余剰電力を集約し、それを地域の企業や公共施設に供給するマッチングも構想されている。共同購入を単なる「モノの購入」で終わらせず、地域全体のインフラへの昇華もめざす。

古都の景観や地域事情に配慮しながら、家庭や事業所の屋根を再エネの受け皿に変えていけるか。今回の共同購入事業は、全国の自治体が直面する住宅太陽光普及の課題に対し、京都発の実装モデルを示す試金石となる。

〔参照〕
京都府様及び京都市様と「太陽光発電設備等協同購入事業」に関する協定を締結
日本テレネット株式会社と「太陽光発電設備等共同購入事業」に関する協定を締結
エコリンクス
第19回 産業サイバーセキュリティ研究会 ワーキンググループ1(制度・技術・標準化) 電力サブワーキンググループ
分散型電源のサイバーセキュリティ対策について