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【総会】太陽光発電協会(JPEA):京セラ山口会長からバトン交代。新代表理事に沖津雅浩シャープ代表取締役が就任、新体制始動

2025.06.16

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太陽光発電協会(JPEA)は6月11日、第一ホテル東京(東京都港区)にて定時社員総会を開催。4年の長きに渡り団体を牽引してきた京セラの山口悟郎代表取締役会長が退任し、沖津雅浩シャープ代表取締役 社長執行役員CEOが新代表理事に就任する役員改選を発表した。懇親会には関係者200名超が駆けつけると共に経済産業省・環境省・国土交通省の各代表が祝辞と脱炭素社会実現に向けた業界への期待を顕にした。

開会冒頭、前代表理事である京セラの山口会長が長年の支援に対する謝辞を述べた上で「混沌とした世界情勢が続いている。頻発する異常気象、地球温暖化への対応は一刻の猶予もない」と指摘。斯様な世相ではあるが「世界太陽光発電の累積導入量は2TWを超え拡大を続けている。エネルギーの安全保障、将来コストや気候変動対策として太陽光発電は合理的な選択と言える。国内市場は低調しているが防災や地域課題解決に資する役割は大きい。今後も太陽光発電の価値を広く訴求し、脱炭素と経済成長の同時実現に貢献すべく、業界の結束を」と呼びかけた。山口前代表理事は激動の4年間で東京都、川崎市、日本下水道協会との連携協定や、団体ロゴ、ウェブサイトといったブランドイメージを刷新するなど数々の施策を打ち立てた。

続いて、新代表理事に就任しバトンが繋がれた沖津雅浩シャープ代表取締役 社長執行役員CEOは山口前代表理事への労いと敬意を述べ「世界気象機関(WMO)によると2024年の世界平均気温は1.55度上昇し、パリ協定の目標を単年で初めて超過。紛争や保護主義が経済を揺らす中、気候変動は最大のリスクであり、温暖化対策の歩みは止められない」とした上で「日本政府は2050年カーボンニュートラル実現に向け、2040年に温室効果ガスを2013年比73%削減、太陽光発電を電源構成の23~29%に引き上げる方針を打ち出すなど再エネ導入への期待が一層高まっている。地域共生だけでなく屋根設置の拡大、蓄電池の活用、パネルリサイクル、営農型など多様な形とテーマを具現化し、健全な普及と市場拡大を図っていきたい」と挨拶した。

来賓からは経済産業省 資源エネルギー庁の伊藤禎則 省エネルギー・新エネルギー部長が登壇。「太陽光発電は引き続き日本の再エネの主役。脱炭素だけでなくエネルギー安全保障の観点からも最も重要」と強調。1970年代のオイルショックを契機に始まった「サンシャイン計画」に触れながら「50年を経た今も当時と同様に世界情勢にリスクがある中で、我が国のエネルギー政策は如何にあるべきか。国民負担の抑制と事業性の確保、導入拡大と地域との共生といった課題もある。だが、嘗て先人たちが切り拓いてきたように、業界の皆さまと共に令和の時代の『サンシャイン計画』を推進していきたい」と太陽光普及を着実に加速させていく姿勢を示した。

続いて登壇したのは、環境省の土居健太郎 地球環境局長。新エネルギー基本計画、GX2040ビジョン、地球温暖化対策計画に言及した上で2050年カーボンニュートラル実現に向け「従来の積み上げ方式ではなく、目標から逆算した直線的な努力の継続が鍵になる」と話し、2023年の国内温室効果ガス排出量が11年連続で減少したことを報告し「先進国の中でも誇るべき成果」と評価。其の上で今後注力する5分野を明示した。①地域共生型太陽光発電の導入、②公共施設での導入拡大、③民間と家庭での自家消費の推進、④国産太陽電池技術『ペロブスカイト』の普及、⑤リサイクル体制の制度化である。特にリサイクルに関しては「経済産業省と連携し、法制化に向けた準備を進めている」とし、さらなる市場成熟に向けJPEAに体制構築の協力を求めた。

最後に国土交通省からは住宅局の佐々木雅也 建築環境推進官が2025年4月から新築建築物すべてに省エネ基準の適合を義務付けた点に触れ「カーボンニュートラルに向け非常に大きな一歩を踏み出せた」と評価。2030年までに新築戸建住宅の6割に太陽光発電を設置するという目標達成に向け「最新調査で新築搭載率は前年同期比5ポイント増36.5%と着実に伸びているがまだまだ」と鼓舞し、普及拡大のための規制制度として大手事業者を対象とした太陽光発電のトップランナー制度を4月に導入。事業者に努力義務を課し、未達時には勧告・公表・命令も行う仕組みを説明。「太陽光発電の普及拡大においては大きな後押しになるだろう」と見通した。ただ、住宅建築物と太陽光パネルの寿命の差、施工の技術的ギャップに言及し「技術や制度的な側面において引き続き協議し解消していきたい」との旨を話した。

記念すべき新体制の一幕。乾杯の挨拶は傘谷正人理事(パナソニック エレクトリックワークス社 電材&くらしエネルギー事業部 環境エネルギーBUエネルギーシステムSBU SBU長)が務め、歓談の後、鈴木伸一理事(エクソル代表取締役社長)が一本締め。今後ますますの太陽光発電の普及拡大を祈念した。

【参考】
役員改選のお知らせ
協会概要