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【時事】太陽光発電の銅線ケーブル盗難問題:年間5000件超に急増、法整備化急ぐ

2025.01.02

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太陽光発電所における銅線ケーブル盗難問題が急増。再エネの筆頭格である太陽光発電普及やカーボンニュートラル実現の足枷になりつつある。対策に向け警察庁、太陽光発電協会(JPEA)、再生可能エネルギー⾧期安定電源推進協会(REASP)は2024年9月に「金属盗難対策に関する検討会」を立ち上げ、不正買取り業者による盗品の流通防止を含めた盗難対策についての検討を始めた。

警察庁がまとめた2023年における太陽光発電設備に対する金属ケーブル窃盗の認知件数は5361件、全体の32%に上る。対する2024年は6月末時点で4161件、同38%と既に前年を上回るペースであることから「対策は急務」とする。被害地域は関東に集中。外国籍・アジア系、特にカンボジア人グループによる犯行が多発している状況を明らかにした。1件あたりの被害総額は500万円から。中には2000万円を超える事案もある。

太陽光発電協会(JPEA)と再生可能エネルギー⾧期安定電源推進協会(REASP)が実施した事業者アンケート調査によると発電規模では1-2MWの高圧が半数を占める。事業用太陽光発電の認定設備導入量は北関東に集中していることから事案発生率が高まっているのではないかとみている。太陽光発電所は人目につきにくい場所や無人であることも多い。全国に波及してもおかしくはない。

背景あるのは金属スクラップ価格の高騰にある。2020年以降、銅・アルミニウム・鉄の価格は軒並み上昇している。脱炭素シフト、コロナ禍の余波、資源高騰が遠因していると考えられている。海外に比べて日本はリサイクル業に対する参入ハードルが低いことから悪質業者の増加に繋がっているのではという見方もあるが、要因は複合的と言える。

検討会では「金属くず買取り業者に対し本人確認義務を課す」「盗品である疑いがある場合の申告義務」「届出制を設ける」「犯行用具規制を設ける場合の規制の在り方」などを議論。業界サイドでは『ケーブル盗難注意喚起のパンフレット』も配布するなど注意喚起が行われている。

〔参考〕
金属盗対策に関する検討会
太陽光発電のケーブル盗難削減に向けて(警察庁有識者会議で対策を要望)
太陽光発電ケーブル盗難の現状と持続可能な事業運営に向けて
太陽光発電編『地域の安心と安全を!! まもろう地域の安全・なくそう太陽光発電設備のケーブル盗難!!』