【読解】ゼロエネ建築市場2024〔ZEH編〕経済産業省&SII:ZEH実証事業調査発表会資料公開、ZEH基準化率4割超え「過半数」まであと一歩。
ゼロエネ住宅普及の進捗は如何に。経済産業省と環境共創イニシアチブ(SII)は12月25日、第11回目となるネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)実証事業における調査発表会資料2024を公開。ZEH基準化率は4割を超え「過半数」まであと一歩の状況が明らかとなった。
まずはプレーヤーの状況について。ZEHビルダー/プランナー登録数は累計5,953件(2024年12月末時点)。都道府県別には関東、九州、近畿、中部に集中する傾向にあるが新築着工件数や人口比率と相関して分布。新築住宅着工に対する市場カバー率は全体の56%と半数を占め、注文住宅では7割超え。分譲住宅では23%だった。
目標値は全体の3割が2025年度までにZEH化率75%以上とする一方で、全体の半数は目標値を50%程度に定めるなど2極化傾向にある。これら供給サイドの状況は例年とほぼ変わらない。
実績達成状況は「達成」が全体の25%程度。半数は「未達」または「報告なし」であることから伸びしろはまだありそうだ。未達理由の定番である「顧客の予算」を超えて、如何に「顧客の理解」を引き出し、「社内の人員不足」「営業の知識不足」といった「体制不備」を解消できるかが鍵を握る。
本題のZEH化率はどうだったか。2023年度におけるZEHシリーズ(『ZEH』/Nearly ZEH/ZEH Oriented)の合計は前年比1割増の約9.7万戸で建築着工に対し27.6%だった。業種別には全国展開するハウスメーカーが73%と高水準で推移。一般工務店も前年より5%水準が上がっている。
加えて「ZEH基準の水準」を満たした省エネ住宅は約5万戸あり、ZEHシリーズを加えた合計戸数は約14.7万戸、ZEH基準化率は42%だった。往年の目標値であった「過半数」に近づいているがあと一歩及ばず。
ZEH基準とは、断熱性能の引き上げに伴う「長期優良住宅」「認定低炭素住宅」等をさす。これまで経済産業省・国土交通省が定義してきた所謂「省エネ住宅」に対する基準はバラバラであったが、脱炭素社会の実現に向け「呼び名」や耐震といった要件は異なるが「省エネ」に対する基準が統一化されている。2025年4月より新築住宅は省エネ基準適合が義務化され、2030年までにはZEH水準への引き上げも計画されている。
残る5年。第4次エネルギー基本計画「住宅については、2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」(2014年4月閣議決定)策定から10年の時を経て。やや裏技感はあるが、計画目標達成への道筋は見えてきているようだ。
〔参考〕
▷ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業 調査発表会HP2024
▷ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業 調査発表会資料
▷経済産業省/資源エネルギー庁:ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について