【ゼミ】日本ルーフレジリエンス協会:屋根再生が非住宅の成長軸に―改修で広がるレジリエンス需要

新築市場の縮小、人手不足、資材価格の高止まりを背景に、既存建築物をいかに長く、安全に使い続けるかが建設業界の重要課題となっている。一般社団法人日本ルーフレジリエンス協会は5月29日、「加速する中古建築物再生 価値ある中古建築物とは?非住宅におけるレジリエンスに迫る」と題したオンラインセミナーを開催した。これまで住宅を中心に議論してきた中古建築物再生の対象を、工場、倉庫、プラントなどの非住宅分野へ広げた。
同協会は2021年に設立。既存屋根の適正な強靱化・改修を通じ、建物の使用価値を高めることをテーマの一つに掲げる。今回の議論では、非住宅改修市場の拡大を受け、屋根改修が単なる修繕ではなく、事業継続や労働環境改善、資産価値維持に直結する経営テーマとして位置づけた。
登壇者からは、工場やプラントでは築40年、60年級の建物も珍しくなく、建て替えには建ぺい率、容積率、防火規制など現行法への対応が伴うため、既存建物を延命する需要が強いとの指摘があった。生産ラインを止められない企業にとって、雨漏りや屋根材の劣化は操業停止につながるリスクであり、改修の優先度は高まりつつある。
需要を押し上げる要因は老朽化だけではない。猛暑を背景に、屋根の遮熱改修は熱中症対策や空調負荷の低減策として注目される。現場では、従来の設備部門だけでなく、総務部門、経営企画部門から改修ニーズが上がるケースも出ているという。防水、遮熱、太陽光発電、空調更新を組み合わせた提案が、非住宅改修の新たな勝ち筋になりつつある。
一方、アスベスト規制の強化も市場構造を変えている。近年、事前調査や電子報告、有資格者による確認、記録保存などの対応が求められ、改修工事は施工技術だけでなく法令対応力を問われる段階に入った。加えて大手工場やプラントでは独自の安全基準が厳しく、作業員教育や現場管理の水準が受注の可否を左右する。
非住宅の屋根改修は、価格競争から総合提案力の競争へ移り始めている。建物を壊して建て替えるのではなく、既存資産を延命し、操業、安全、省エネを同時に実現する。ストック型社会への移行が進むなか、屋根を起点としたレジリエンス市場は、関連企業にとって新たな成長領域となりそうだ。
〔参照〕
▷日本ルーフレジリエンス協会