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【国際】環境省&地球環境戦略研究機関(IGES):都市間連携で脱炭素促進、大阪で国際セミナー開催

2025.01.27

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環境省と地球環境戦略研究機関(IGES)は1月23日、グランフロント大阪で「脱炭素社会実現のための都市間連携セミナー」を開催した。パリ協定の1.5度目標達成に向け、都市間での連携を軸にした脱炭素化の事例共有や、国際的な課題解決に向けた議論が行われた。

都市は世界全体の温室効果ガス排出量の約7割を占め脱炭素化における重要なプレーヤーと位置付けられている。同セミナーでは、国内外の自治体、企業、研究機関が一堂に会し、技術ノウハウの共有や、新規事業の国際展開モデルの構築に関する議論が展開された。

この「City-to-City Collaboration Program(都市間連携プログラム)」は2013年度より実施され24年度までに国内23の自治体と13か国・56自治体との間でパートナーシップが構築されている。自治体間の協力による信頼性の向上、チームベースの効率的な調査、中小企業の国際展開支援など参画者にとってのメリットが大きく、事業者にとっては海外展開の足掛かりともなる。

技術協力だけでなく二国間クレジット制度(JCM)を通じて、温室効果ガスの排出削減や持続可能な開発にも繋げている。JCMは日本と相手国が協力し、温室効果ガス削減を図る仕組み。日本は先端技術や資金を提供し、相手国で再エネや高効率設備の導入を推進。削減された温室効果ガス量を両国で共有し削減目標達成等に活用する。持続可能な発展や企業の海外展開を支える仕組みとして注目を集めている。

資料より

セミナーでは環境省の松澤裕 地球環境審議官、大阪市の堀井久 環境局長氏による開会挨拶に続き、脱炭素社会実現のための都市間連携事業の具体的な取り組みが発表された。パラオのアイライ州、チリのサンティアゴ市レンカ区、インドネシアのマカッサル市などの自治体首長が、地域特有の課題と解決事例を報告。都市間連携による課題解決の可能性を示した。事業者として参画する兼松KGKや日本工営は海外支援の具体例を紹介。脱炭素技術を活用した新規事業の開拓や国際的なネットワーク構築の有用性が語られた。

後半のパネルディスカッションでは「地域の脱炭素化と経済成長の同時実現」をテーマに、堺市、神戸市、近畿経済産業局、連携する海外の自治体首長らが参加。地域間連携の重要性について意見が交わされた。都市レベルの繋がりが脱炭素だけでなくヒトを繋ぎ交流を深めていく。2025年度の都市間連携プログラムの提案募集は2月と4月に行われ約20のプロジェクトが採択される予定とする。

〔参照〕
脱炭素社会実現のための都市間連携セミナー2025