【企業】エブリワエナジー:太陽光発電・蓄電システム等の共同購入支援事業に新規参入 「他業種との共創型コミュニティを強みに社会課題解決」
地域脱炭素化の実現に向け新たなプレイヤーが現れた。パナソニックグループが運営する共創型コミュニティ『evriwa(エブリワ)』からエブリワエナジーが誕生。自治体向けに太陽光発電・蓄電システム等の共同購入支援事業を本格展開させる。その戦略とは。代表取締役に就任した玉川篤史社長に訊いてみた。
そもそものルーツとなる『everiwa』はパナソニックグループが2020年に運営を開始した共創型コミュニティ。パナソニックEW社の新規事業として、この「場」を生み出したのが玉川社長である。企業・自治体・団体・大学などが参画し、個人や組織の枠組みを超え、地域社会の課題解決を図る目的で創設された。「1社単独では解決できない社会問題を競争ではなく協創して解決していく」をコンセプトにしている。金融機関をはじめ製造・流通・サービスなど50社以上が賛同し緩やかな広がりをみせる。
同コミュニティでは「誰もが安心して電気自動車でくらせる街」をテーマに千葉県市川市・流山市と連携しEV充電器設置に取組む「everiwa Charger Share」というシェアリングサービスを構築するなど、エネルギー分野における先進的なプロジェクトを展開してきたが「さらなる地域脱炭素化を促進するためエブリワエナジーを2024年9月に立ち上げた。第一弾では自治体と連携する共同購入支援事業を通し、エネルギーの地産地消を推進していく」と経緯を説明。パナソニックとの資本関係はないが「戦略的共創パートナーとしてevriwaのネットワークやノウハウを活かし社会課題を解決していきたい」との方向性を話す。
共同購入とは、地域住民が自治体と事業者を通じて再エネ設備をまとめて購入する仕組み。一括購入による規模のメリットを活かし設置コストを抑えるのが特徴である。支援事業では購入希望者の募集、入札の段取り、販売施工業者の選定といったスキーム一式を提供していく。事業を推進するには自治体が公募するプロポーザルへの採択が必要となるが「既に複数地域へ参加表明を出している」という。立ち上げから僅か数ヶ月。着々と準備を進めているようだ。
既に複数社が参入しているがまだプレイヤーは少ない。他社との違いについて「単にコストを抑えたエネルギー設備機器の購入だけでなく経済メリットの訴求や住民が安心して導入できる仕組みを整備。地域脱炭素化の進捗を管理できるようなスキーム。販売・施工事業者の収益性や技術力UPといった三方よしのビジネスモデルへと昇華させていく。将来的には初期費用ゼロ円スキーム、住宅用だけでなく産業用など地域や市場ニーズに合わせたビジネスモデルの拡充を図る。他業種との共創型コミュニティを強みに地域社会の脱炭素化と社会課題の解決を図っていく」と意気込みを語った。