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【読解】保険業界から見た太陽光発電設備の事故調査:自然災害多発で17年度比4倍、盗難は約20倍に増加

2025.01.03

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(出典:資料より)


太陽光発電設備の電気的な事故発生要因は9割がパワコンとされるが、保険業界から見ると少し違った景色が見えるようだ。

日本損害保険協会が2024年2月に発表した調査結果がある。2017年度を基準とした場合、2021年度の保険金支払い額は約4倍。大規模事故(1億円以上)も増加傾向にあり被害が甚大化している可能性を指摘。事故原因の約8割は自然災害で、特に雪災(26%)や水災(24%)などが保険金単価が大きく重大被害が発生しやすいと分析する。

(出典:資料より)


比率としては1割以下であるが、盗難も急増。2022年度は5年前と比べて20倍に。ケーブルに使われる銅線価格の高騰を背景に、関東地方で多発していることを明らかにした。海外事例として、北米においても暴風雨や雹害、ヨーロッパでは盗難や電気的事故が課題となっていることを紹介。一件あたり100億円を超える事故も存在するという。

対策として協会では経済的損害の事後的なてん補に留まらず、事故発生自体を未然に防ぐ取組(=ロスプリベンション)を提唱。気候変動対策、脱炭素社会の実現に向け期待される太陽光発電設であるが、発生した事故に対する再発防止策の提案、早期復旧を支援するサービスなどを活用することで「真のサステナブル」を目指していくべきと締めくくっている。

〔参考〕
太陽光発電設備の事故発生状況に関する 調査研究結果
太陽光発電設備向け火災保険(企業向け)の 事故発生状況等に関する調査研究結果