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【独自】太陽電池は好きですか?創業20周年。世界市場を牽引するジンコソーラー銭副社長が語るエネルギー転換時代の羅針盤―「長期的な視点でみれば伝統は常に変化し移りゆく」

2026.04.26

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ジンコソーラー(JinkoSolar)銭晶(Dany Qian)副社長


太陽電池は好きですか?
唐突に。やや幼稚かも知れないが、敢えて問うてみたかった。このエネルギー転換の時代。創業20周年。業界を牽引し、駆け抜けた世界最大手は何を志向するのか。ジンコソーラー銭副社長曰く「長期的な視点でみれば伝統的とされるエネルギーは常に変化し移りゆくもの。そう信じ考えてこれまで事業を推進しきた」―。

日本という国への来日も含め取材者への配慮があったのかもしれない。だが、その見据える未来には時代の皺勢を切り取る、トップランナーとしてのプライドと重みが感じられた。

■累計390GW出荷、単独で世界の6分の1規模に迫る

世界の太陽光発電市場は、かつてない規模で拡大している。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると2025年の世界の再生可能エネルギー容量は5,149GWに達し、そのうち太陽光発電は2,392GWと全体の約47%を占める最大電源となった。年間導入量も511GW超と、再エネ拡大の約7割を担う正に主役である。国際エネルギー機関(IEA)も太陽光発電が今後の再エネ市場を牽引するとの見通しを示す。

一方、導入量の拡大に対し、送電網整備の遅れや出力抑制、昼間の電力価格下落といった構造課題が顕在化。発電量は増えてはいるが、供給サイドの収益環境は必ずしも安定していない。ただ、この現象は過渡期にあって数年単位で何度も繰り返されてきたことではある。

これら厳しくも成長する環境の中、圧倒的な供給量をもって市場を牽引してきた1社がジンコソーラーである。2025年のモジュール出荷量は86GWと世界首位級を維持。累計出荷量は2025年末時点で約390GWに到達。世界の累積太陽光容量(約2,392GW)に対し約16%規模に相当するシェアを占める計算となる。単一メーカーとしては突出した存在と言える。

■20年で築いた「規模」と「技術」―垂直統合モデルの完成

同社は2006年に中国で創業、4年後の2010年にはニューヨーク証券取引所への上場を果たす。創業から短期間で垂直統合型の生産体制を確立し、セル、ウエハ、モジュール、販売、サービス等を一貫して手がける体制を築いた。

2015年に年間出荷量で初の世界首位を達成、その後もトップクラスの地位を維持。2019年には太陽光発電企業として初めてRE100に加盟するなど、環境対応でも先行した。2020年代に入るとN型TOPCon技術へのシフトを加速させ「Tiger Neo」シリーズを主力に現在の競争力の核を形成している。

大規模な生産体制。世界14カ所に製造拠点、35カ所に物流拠点を構え、グローバル供給網を形成。2025年の年間出荷量86GWは、世界市場シェアで約18%前後に相当する水準となる。2026年には生産能力を100GW規模まで引き上げる計画を掲げるなど拡大路線は止まらない。2025年通期の売上高は655億元(約1.5兆円)と巨大企業へと成長した。

日本市場においても2割シェアを超える。2013年の日本法人設立以降「年間1GW超の供給を継続し、7年連続で出荷量首位」を維持している。

■価格競争の限界と次の戦場―蓄電・需要開拓・そして宇宙へ

とはいえ、市場環境は厳しい。背景には、供給過剰によるモジュール価格の急落がある。太陽光はすでに多くの地域で最も安価な電源となったが、即ちメーカーの収益を保証するわけではない。銭副社長は「単にコストが下がったからといって需要があるわけではない」と指摘。「土地、系統、需給バランスといった制約の中で、発電した電力をどう活用するか、如何に価値を生み出していくかが重要であり、その一つの可能性として蓄電ソリューションがある」と話す。

次なる戦略として注力するのが蓄電池事業である。2026年には蓄電池出荷量を倍以上に拡大する計画を掲げる。発電と蓄電を組み合わせることで、電力の時間価値を高め、再エネの経済性を引き上げる。加えて電気自動車、AI、ロボットといった新たな電力需要も視野に入れる。そのスケールは地球を超えて。グローバル大手の異業種協業による宇宙領域でのエネルギー活用にも着手しているという。

太陽光発電は「安い電源」から次の段階へと移りつつある。求められるのは、単なる発電量ではなく、エネルギーをベースとした価値創出なのだろう。業界全体でも模索がはじまる。

「長期的な視点でみれば伝統的とされるエネルギーは常に変化し移りゆくもの。そう信じ考えてこれまで事業を推進している」

銭副社長の言葉通り、エネルギーは常に変化し続ける。累計390GWという規模を積み上げたジンコソーラーは、価格競争の先にある共創を見据え舵を切りつつあるのかもしれない。

〔参照〕
Renewable capacity statistics 2026
Renewables 2025 Analysis and forecasts to 2030
jinkosolar
Press Releases
Q4 2025 EARNINGS CALL PRESENTATION
JinkoSolar Announces Fourth Quarter and Full Year 2025 Financial Results