【市況】中東情勢で住宅建築資材が値上げ・供給制限、受注停止や納期未定も―国交省は検査柔軟化を要請

中東情勢の緊迫化を背景に、住宅資材の価格上昇と供給制限が広がっている。石油・ナフサ由来の原材料価格の上昇や調達不安を受け、断熱材、塗料、樹脂建材、住宅設備など幅広い分野で値上げ、受注制限、納期見直しの動きが相次いでいる。資材供給の前提が崩れつつある中で、施工現場や受発注のあり方にも影響が及び始めている。
■断熱材・塗料・設備まで広がる値上げと供給制限
断熱材では、押出法ポリスチレンフォームやグラスウールなどで40%前後の値上げが発表された。発泡系断熱材や関連製品でも同様に価格改定が進み、今春出荷分から適用する動きがみられる。製品単体にとどまらず、付帯資材や関連部材にも値上げが波及している。
供給面では、メーカー各社が新規受注や見積もりの一時停止に踏み切っている。既存取引先への供給を優先するため、納入実績水準に応じた出荷制限や、大口案件の受注抑制といった対応も広がる。見積もり段階での数量提示や価格提示を見送るケースもあり、設計・積算の初期段階から影響が出ている。
塗料分野でも価格改定が進む。建築用塗料では追加値上げの動きがあり、出荷時期を区切って改定を実施するケースがみられる。壁装材や内装材でも取引価格の見直しが進み、18〜30%程度の値上げが示されている。塗料業界団体は、原材料の供給不安や価格上昇の状況について国土交通省に説明しており、業界全体での共有が進んでいる。
樹脂系建材や産業資材でも価格改定が相次ぐ。発泡樹脂製品では35%超の値上げが打ち出され、建材用途でも同様の動きが広がる。雨といや波板などの外装関連製品でも価格改定が予定されている。さらに、防水材料では新規受注の停止、建材製品では20%以上の値上げ、全製品を対象とした供給制限など、価格と供給の両面での対応が並行して進む。
配管材や設備関連部材でも影響が広がる。水道管路機器では10%程度の値上げ、樹脂管材では5〜20%超の改定が発表された。空調用被覆銅管では20%以上の値上げが示されている。バルブや関連部品でも価格改定が実施され、原材料費と物流費の上昇が製品価格に反映されている。
住宅設備分野では、受注や供給の運用に変化が出ている。システムバスでは新規受注の一時見合わせ、キッチンなどでも一部商品の新規受注停止が発生している。納期回答を一時停止する動きもあり、受注は継続しつつも供給条件の見直しを前提とするケースが増えている。出荷自体は継続するが、数量や納期に制約が付く形での運用もみられる。
空調機器では一部商品や部材で価格改定が行われており、出荷時期に応じて順次適用される。住宅設備全体として、価格改定と供給調整が同時に進行する構図となっている。
■国交省が検査運用を柔軟化、施工停滞の回避へ
原材料調達の見通しに関する不確実性が企業対応に影響を与えている。納期の確約を見送る、受注数量に上限を設ける、既存案件への供給を優先するといった運用が広がり、受発注の前提条件が変化している。
全国商工会連合会の調査では、中小企業から仕入れ価格上昇に関する声が相次ぐ。断熱材が40%上昇したとの回答や、一部資材で従来の倍近い価格となったとの指摘もみられる。価格上昇のスピードに対し、販売価格への転嫁や契約条件の見直しが追いつかないケースもあり、収益への影響が出ている。
施工現場では、資材の確保や仕様選定に時間を要するケースが増えている。従来使用していた製品の入手が難しい場合、代替材の選定や設計変更が必要となる。納期未定や出荷制限が前提となることで、工程管理にも影響が及ぶ。
こうした動きを受け、国土交通省は住宅生産関係団体に対し、資材不足に伴う仕様変更への対応を要請した。断熱材などが当初設計と異なる仕様となる場合でも、完了検査の運用を柔軟にすることで、工事の停滞を回避する考えを示している。代替材の使用が前提となる状況に対応し、制度運用面での調整を行うものとなる。
検査運用の柔軟化は、施工完了や引き渡しの遅延を防ぐための措置となる。設計図書と実際の施工内容の差異が発生する場合でも、一定の範囲で対応を認めることで、資材供給の制約下でも工事を進めることを可能とする。
一方で、メーカー側では価格据え置きや顧客対応を打ち出す動きもみられる。断熱材メーカーの一部では、当面価格を据え置く方針とともに、住宅事業者向けの相談窓口を開設している。ただし、原材料価格や調達状況の変化によっては、今後の価格改定を検討する余地が残されている。
住宅資材分野では、価格改定、供給制限、受注停止、納期見直しが同時に進行している。調達、設計、施工、引き渡しに至る各工程で前提条件が変化しており、契約条件やリスク分担の見直しも含めた対応が求められる状況となっている。
中東情勢の動向によっては、原材料価格や供給状況がさらに変動する可能性がある。住宅価格や着工動向への影響も含め、関連分野への波及が続く見通し。業界各社は、供給状況と価格動向を踏まえた運用の見直しを進めている。
【出典】
▷国土交通省:中東情勢受け住宅資材対応を要請、断熱材変更時の完了検査を柔軟運用
▷日本塗装工業会:中東情勢で塗料資材が逼迫、国交省に供給不安を説明
▷全国商工会連合会:中東情勢で仕入れ高騰深刻化、中小企業から悲鳴。断熱材40%高や倍値も
▷TOTO:システムバスの受注方法を一時見合わせ、出荷は通常通り継続
▷LIXIL:供給条件の調整を示唆、原材料高で価格や納期に影響懸念
▷イゾベール:受注を納入実績水準に抑制、新規取引と見積もりを一時停止
▷旭ファイバーグラス:新規案件と見積もりを一時抑制、断熱材供給に制約懸念
▷JSP:産業資材製品を35%超値上げ、新規先案件の受注も抑制
▷JSP:ミラフォームを40%値上げ、関連製品も6月出荷分から改定
▷デュポン・スタイロ:断熱材を40%値上げ、中東情勢悪化で原料高騰
▷積水化学:建材製品を値上げ、雨といや波板など5月出荷分から改定
▷TAJIMA:新規受注を停止、イラン情勢の影響で供給安定化を優先
▷エーアンドエーマテリアル:建材製品を値上げ。7月出荷分から20%以上上昇
▷オート化学工業:全製品を供給制限。販売実績上限で出荷抑制へ
▷フクビ化学工業:製品供給を制限、価格改定も実施。4月以降に全製品対象
▷日新工業:防水材料の新規受注を停止。中東情勢で供給体制が逼迫
▷エスケー化研:建材塗料を追加値上げ。5月11日出荷分から全般改定
▷パナソニック:住宅設備用エアコンを価格改定。4月から一部商品・部材で実施
▷大成機工:水道管路機器を値上げ。4月受注分から全製品10%
▷クボタケミックス:管材製品を値上げ。4月出荷分から5〜20%超
▷因幡電工:空調用被覆銅管を値上げ。4月出荷分から20%以上上昇
▷ベン:全製品と部品を4月から値上げ、原材料高と物流費上昇が直撃
▷タカラスタンダード:中東情勢緊迫化で原材料調達に不安定要因。納期・数量・価格への影響を警戒
▷エンデバーハウス:断熱材の大口受注を抑制、原材料高騰なら価格改定も視野
▷サンゲツ:7月受注分から取引価格改定、中東情勢で壁装材など18〜30%上げ
▷ハウステック:納期回答を一時停止、原材料難で受注継続も供給条件見直し含み
▷パナソニック ハウジングソリューションズ:一部商品で出荷調整、中東情勢で供給不透明感
▷クリナップ:一部商品の新規受注を停止、中東情勢の緊迫化で原材料調達が難航
▷デコス:断熱材価格を当面据え置き。ホルムズショック下で無料相談窓口を開設
※本記事は一次情報をもとに生成AIを活用した要約です。詳細は公表資料をご確認ください。