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【独自】河村電器産業:産業用蓄電市場に本格参入、「分散エネルギー最適制御プラットフォームを構築し、中長期的に事業の柱へと成長させる」

2025.01.08

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河村電器産業は今春、産業用蓄電市場へ本格参入する。「分散エネルギー最適制御プラットフォームを構築し、中長期的には現在の事業体と同等のビジネスへと成長させる」と意気込みを語る。何を描くのか。指揮を執る伴覚守常務執行役員に訊いてみた。

同社は創業100年を超える老舗受配電設備メーカー。住宅・産業用の分電盤やキュービクルの製造販売をメイン事業とする一方、電気火災を抑制する『プレトラックコンセント』や再配達問題を解消するための宅配ボックス、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究により生み出したEV充電器シリーズなどを展開。

長年培った電気設備の知見を活かし、時代に沿ったソリューションを提供。「新しい社会」に起きる「新しいリスク」を先読みして電気安全を守る『アクティブ・ディフェンス』をミッションとして掲げる。近年ではタイ・シンガポール・ベトナムなど東南アジアに拠点を伸ばし事業拡大を図る。2023年度、グループの年商は760億円を超えた。

2024年12月11日に開催されたJAPAN BUILD TOKYOにて初披露された

世界は脱炭素社会。無論、電気設備のプロフェッショナルはこの好機を見逃さなかった。同社は2024年12月9日、ノルウェーで急成長しているベンチャー電源メーカーPixii、情報システム開発大手SCSKと業務提携協議に関する覚書を締結。『分散エネルギー最適制御プラットフォーム』と仮称した産業用蓄電システムを2025年度より本格販売すると発表した。

これは高圧受電設備(キュービクル)とパワコン、蓄電池を組み合わせた一体型モデル。設備全体のエネルギーをクラウドから統合管理し電力マネジメントを最適化する。ハード・システムの両面をモジュラー型にすることで需要家毎に異なる出力・容量に対応。同社国内の生産工場にてセットアップして納品するため電気設備設計業務の軽減や現場での設置作業を省人化するなど拡張性と柔軟性を備える。協業する3社の強みを活かした。

再エネ分野だけでなく数々の新規事業を成功させてきた伴覚守常務執行役員は「2024年年初より計画し、春からの本格始動に漕ぎ着けた。再エネ拡大に伴う分散電源をコントロールしていく。電力取引、容量市場は今後ますます注目され成長していくだろう。あらゆるところに蓄電制御システムが普及していく世界はすぐそこにある。ただ、1社で出来ることは限られている。今回の協業を皮切りに、各分野それぞれの事業者の強みを活かした協業体制を全方位的に構築していきたい」と話した。老舗の躍進や如何に。

〔参照〕
河村電器産業、SCSK、Pixiiの三社が社会の脱炭素化実現に向けて 業務提携協議に関する覚書を締結
SCSK
Pixii AS