【独自】第41回 太陽光発電シンポジウム開催 ミニレポート:地域共生で2040年 主力電源へ
穏やかに力強く—。太陽光発電協会(JPEA)は11月6日、第41回目となる太陽光発電シンポジウムを開催。『2040年 主力電源への道筋~地域と共に太陽光の未来へ~』をテーマに業界のめざすべき未来を共有した。
開会冒頭、山口悟郎JPEA代表理事は「協会が掲げる太陽光発電産業の新ビジョン『PV OUTLOOK 2050』の実現、第7次エネルギー基本計画の最終目標年である2040年に向けた課題解決の道筋を、このシンポジウムを通し考えていきたい」と挨拶。
年初の能登半島地震や相次ぐ激甚災害を振り返った上で「世界的な脱炭素の潮流、安定的な電源として再エネにシフトチェンジが加速。グローバルでは昨年1年間で375GWが導入された。2027年には石炭火力を上回る世界最大の電源になる見通しもある。太陽光発電業界は我が国の将来のエネルギーインフラを支え、地位経済を豊かにしていく大義がある。この大義を全うするためにJPEAは全力を尽くしていきたい」との旨を力強く語った。
続く来賓講演では、エネルギー政策の中核を成す経済産業省、環境省、同シンポジウムが開催されて以来、初登場となる国土交通省の3省が再エネ普及に対する課題や解決策としての政策展開を講演した。
再生可能エネルギーの導入状況について経済産業省の日暮正毅 新エネルギー課長は「2012年7月のFIT制度(固定価格買取制度)開始により、再エネ導入は大幅に増加。2011年度の電源構成比10.4%から2022年度は21.7%に拡大したが、2030年度のエネルギーミックス目標である再エネ比率36-38%の実現に向け、更なる再エネの導入拡大を図る必要がある」と全体像を俯瞰。
太陽光発電について「概ね5GW/年のペースで導入が進んでいるが、2030年目標(103.5~117.6GW)の実現には今後約6年間で30~45GWの導入、すなわち5~7.5GW/年のペースで導入を継続していくことが必要。今後、平置きの導入余地となりうる適地は減少していく中、屋根設置の拡大、壁面、耐荷重性の低い場所への設置可能な次世代型太陽電池の導入が求められる」と解説した。
一方、再エネ普及に伴い地域におけるトラブルは近年増加傾向にある。2016年10月~2024年3月末での相談件数は1180件。うち9割以上を太陽光発電が占め、地域住民の懸念が顕在化、法令遵守されず問題を抱える設備が存在するという。
数が増えれば当然の現象とも言えるが、再エネ発電設備の適切な導入及び管理が肝要となってくる。経済産業省WGでは「次世代にわたって自立的な形で、太陽光発電を社会に定着させる役割を担うことができ、責任ある太陽光発電事業者について『長期安定適格太陽光発電事業者』として認定する制度が検討され始めている。
▷経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 日暮正毅 新エネルギー課長 講演資料「太陽光発電の政策動向」
では、地域共生モデルとは何か。環境省の吉野議章 地球温暖化対策課長は、そのお手本となる脱炭素先行地域や重点加速化事業などを中心に講演。これは2021年に「国・地方脱炭素実現会議」により策定されたロードマップに基づき「2030年度までに少なくとも100か所」のモデルケースを作ることで「脱炭素ドミノ」を連鎖させるという施策。再エネによる地域課題の解決と住民の暮らしの質向上をめざしている。現在、第五回までの公募で計画提案82件が選定されている。
並行して全国で重点的に導入促進を図る屋根置き太陽光発電、ZEB・ZEH、EV等の取組を地方公共団体が複数年度にわたり複合的に実施する重点対策加速化事業では、149自治体が選ばれ、荒廃農地、調整池、営農型、ため池といった様々な場所での再エネ導入が試みられている。このほか、地方自治体による再エネ目標設定と取組が加速。営農型においては累計4000件を超え年々増加傾向にあるという。懸念よりも再エネへの期待は大きく見える。
▷環境省 地球環境局 吉野議章 地球温暖化対策課長 講演資料「太陽光発電の最大限の導入に向けて」
住宅・建築物においてはどうか。同シンポジウムが開催されて以来、初登場となる国土交通省の佐々木雅也 建築環境推進官は建築物省エネ法と太陽光パネルの設置促進策について熱弁。「2050年カーボンニュートラルの実現に向け、我が国のエネルギー消費量の約3割を占める住宅・建築物分野の取組が必要不可欠」との認識を示した上で
「2025年度の省エネ基準適合義務付けの後、遅くとも2030年までに、省エネ基準をZEH・ZEB水準まで引上げ予定」「建築物への再生可能エネルギー利用設備の設置の促進に関する目標として、令和12年(2030年)において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されていることを目指す」といった具体的な方針を説明。公営住宅においては既にZEHや太陽光の搭載は原則化されているという。
別の角度からは、新築・改修においても建築物の販売・賃貸時のエネルギー消費性能表示制度がスタートしたことを皮切りに一般消費者への周知を強化。今般、住宅トップランナー制度において太陽光発電の導入目標の引き上げ検討を行うなど、住宅・建築物においても再エネ導入加速の重要性を指摘した。
国土交通省の調べでは、新築住宅の太陽光発電設置率が約3割、非住宅(300㎡以上)は約8%程度。まだまだ拡大の余地はある。
3省それぞれ政策支援を加速させていく旨を力説していた。
▷国土交通省 住宅局 佐々木雅也 参事官(建築企画担当)付建築環境推進官 講演資料 「建築物省エネ法における太陽光パネル設置促進について」
後半では、早稲田大学 研究戦略センター 近藤道雄 教授、東京大学大学院 未来ビジョン研究センター 高村ゆかり 教授、京都大学大学院 経済学研究科 諸富徹 教授、東京理科大学 工学部 電気工学科 植田譲 教授といった名だたる有識者による特別・基調講演が行われ「世界1TW時代をどのように共創していくか」「エネルギーセキュリティとしては小規模でも国内生産が望ましいのでは」「営農型ではなく(農業が主体といった意味で)太陽光活用型農業といった表現はどうか」など議論が白熱。太陽光発電協会 増川武昭 事務局長をモデレータとするパネルディスカッションで世界市場や技術動向を踏まえた業界の未来が話し合われた。
初日の締めくくりは第二回目となる「ソーラーウィーク大賞」の表彰式。「地域に貢献し、地域から望まれ、他の模範ともなる太陽光発電の普及拡大に資する取組・事業」とは何か。
業界人一人ひとりの活動原理が問われているようだった。