【政策】環境省税制改正:GXと脱炭素を軸に令和8年度は税制全体のグリーン化を加速

(出典:HPより)
令和8年度の環境省関係税制改正は、2050年ネット・ゼロの実現を見据え、税制全体のグリーン化を軸に据えた内容となった。政府は2035年度に2013年度比60%減、2040年度に73%減という新たな温室効果ガス削減目標を掲げており、成長志向型カーボンプライシングを含むGX政策を税制面から下支えする構えがうかがえる。特に、排出量取引制度や化石燃料賦課金の制度設計を盛り込んだ「GX2040ビジョン」や改正GX推進法を踏まえ、脱炭素投資を後押しする環境整備を進める方針とされた。
税制全体のグリーン化では、地球温暖化対策税を引き続き着実に実施し、省エネや再エネ普及、化石燃料の効率化施策に充当する。揮発油税などの「当分の間税率」廃止を巡っては、廃止のみでCO₂排出量が増加する懸念が指摘され、同等以上の環境保全効果を確保する代替措置の検討が求められた。排出削減目標との整合性を確保しつつ、安定財源の確保策についておおむね1年以内に結論を得る方向とされた。
自動車分野では、車体課税の一層のグリーン化を進める。自動車重量税のエコカー減税は燃費基準を引き上げたうえで2年延長され、電気自動車については令和10年から車両重量に応じた新たな負担を求める方針が示された。あわせて、自動車税・軽自動車税の環境性能割は令和7年度末で廃止し、その後の税体系についてはカーボンニュートラル目標を踏まえ検討する。
個別措置では、循環経済分野で廃棄物処理施設や汚水処理施設に係る固定資産税の特例を2年延長した。脱炭素分野では、再エネ発電設備の固定資産税軽減措置を拡充・延長し、太陽光はペロブスカイト型に限定したうえで軽減率を引き上げ、風力も制度要件を満たす設備に対象を絞った。住宅分野では、住宅ローン減税や認定住宅の税制優遇を延長し、床面積要件の緩和などにより既存住宅の省エネ改修や脱炭素化を促す。さらに、研究開発税制の拡充や国土強靱化施策の財源確保検討も盛り込まれ、環境と成長を両立させる税制運営を志向する姿勢が示された。
【出典】
▷令和8年度環境省関係税制改正について