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【ゼミ】EINNOVA JAPAN(エノバ・ジャパン):建材一体型太陽光発電(BIPV)って何?「建築発電所化」の期待と現在地を徹底解説

2025.11.25

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建物そのものを発電装置として機能させる──。建材一体型太陽光発電(BIPV:Building Integrated Photovoltaics)が再び注目を集めている。11月19日、インテックス大阪にて開催されたPV EXPOで講演したエノバ・ジャパンの何灝(カ・ヒロシ)常務取締役は、建物を発電設備へと転換する同技術の可能性と現在地を解説した。

■追い風は強いが、立ち上がりは「ゆっくり」か

BIPVは、ガラスや屋根材、外壁材に太陽電池を組み込み、建材と発電機能を一体化する技術。デザインや美観性を損なわず、建材費と発電設備を一体化できるため、長期的な経済性も確保しやすい点が特徴である。

瓦一体型や屋根材一体型など国内設置事例も多い。欧州や米国では建材としての太陽光導入が既に「当たり前」となりつつあるという。

再注目される発端は政策動向にある。東京都は2025年4月より大手ハウスメーカーに対し新築住宅への太陽光パネル設置を義務化。政府は2050年カーボンニュートラルを掲げ、ZEH普及やペロブスカイト太陽電池の導入(2040年に20GW)など建築分野の脱炭素化を進めていること。

だが、課題もある。曰く「建材と電気設備の両要件を満たすため、設計と施工に高い専門性が求められる。初期投資は従来型太陽光より1.5~2倍に上振れしやすく、発電効率も美観性や透光性とのトレードオフが生じる。建築基準法・電気事業法・消防法の横断的な調整も不可欠。こうした複雑性と障壁を乗り越えることがBIPV市場拡大の鍵となる」という。

■建築が発電所となる未来像

BIPV普及に向けた戦略のテーマは「建築の発電所化」。屋根、外壁、窓、バルコニーまでを発電面として統合し、建物が稼働する限り電力を生み出す。都市部で再エネ導入の物理的余地が限られる日本では、建物自体をエネルギー源に変えるアプローチが重要性を増す。

ペロブスカイトの軽量・柔軟化が実用段階に進めば、既存建築への後付けリノベーションも現実的になる。建築家、施工業者、PVメーカーが横断的に連携し、設計段階からBIPVを前提とした建築が広がれば、市場は「特殊な高付加価値製品」から「標準的な建材」へと移行していく。

今年5月に正式に日本市場へ参入したエノバ・ジャパンは、OEMを通じて既に国内大手への供給実績を持つ。同社は2008年より世界50カ国以上に供給。中国・台湾の全自動ラインの生産キャパは8GW超。大量生産ではなく低反射パネル、フレキシブルモジュール、ガラス一体型ファサードなどカスタム品を得意とする。

住宅密集地や低荷重屋根など日本特有の制約に対応した製品ラインアップを展開していく予定。

建物そのものがエネルギーを生み出す未来。果たして現実のものとなるか。今後の動静に注目があつまる。

【参考】
エノバ・ジャパン