【独自】LONGi×Sigenergy×novis :太陽光と蓄電の新たな勝ち筋とは?3社共同セミナー開催、業界関係者 約160名が参集
太陽光発電と蓄電システムを巡る新たな潮流―。LONGi Solar Technology、Sigenergy Japan、novisの3社は8月5日、都内のホテル雅叙園東京にて「時代を変える“選定眼”を 太陽光と蓄電の新しい勝ち筋とは~BCとDCリンクが切り拓く“価値提案”の新時代 本物はココにある~」と題した共同セミナーを開催。業界関係者 約160名が参集し、先進的な製品と新たな切り口に耳を傾けた。
開会にあたり、novisの山口 裕一 社長は「業界に寄り添い価値ある技術や製品を提供することで市場拡大を図っていく」と挨拶。再エネ市場の成長局面において、供給側と需要家双方の視点から新たな事業機会を探る場となることを祈念した。
続いて登壇したのは、世界最大級の太陽光パネルメーカー LONGi Solar Technologyの南 洋 社長。同社が注力するBC(バックコンタクト)型モジュール『Hi-MO X10』について、技術・営業両部門の担当者と共に解説した。世界最大規模のウエハメーカーでもある同社は「単結晶PERC → TOPCon → BC」へと変遷するセル技術を紹介し「あと数年でBCが主流になる」との見解を示した。
同社は2017年より技術開発に着手。2019年には量産化に目処をつけ、以後、生産規模1GWに対し80億円程度が必要とされる設備投資を実施。2025年末までに総生産キャパ120GW超のうち凡そ半数に相当する50GW体制を計画していることを明かした。2024年末において特許取得数も400件を超え業界トップであるという。
同社BC技術はセル裏面に電極を配置することで発電効率の向上や美観に加え長期信頼性・耐久性が高い、部分影対応機能により影に強い等の特徴がある。一方、コスト面に課題がある。この点について「確かに初期投資やW単価という価値観でのコストは高くなる」と説明した上で「設置容量が同じ場合:パネル枚数・架台・施工費・土地・O&Mコストは下がり、余った敷地に増設または蓄電システムが設置可能」「枚数が同じ場合:容量UPが見込め経済的メリットが向上する」とのシミュレーションを紹介。
「生涯発電量の違いにより仮にW単価が2割高くても、従来品との経済メリットは5年以内に逆転する。30年間では新製品を購入できる程の差がでる」と「真価値と新価値」をキーワードにBC技術の優位性を強調した。

左からLONGi Solar Technology 南 洋 社長、novis 山口 裕一 社長、Sigenergy Japan 趙 宏碧 社長
次にSigenergy Japanと韓国支社を率いる趙 宏碧 社長が登壇。業界初となる「高圧・低圧双方に対応するDCリンク型蓄電ソリューション」を披露した。
まだ国内では聞き慣れないかも知れないSigenergy(シグエナジー)。同社は元Huawei出身の技術者であり同社のスマートPVビジネスやAI事業を率いたTony Xu(トニー・シュー)氏が2022年5月に設立した中国発のベンチャー企業である。
ただ、その勢いは破竹の如く、立ち上げ直後から百億円を超える資金調達を成功させ、僅か2年で年間売上高1億ドルを達成。世界トップクラスの研究開発チームによりパワエレ、デジタル、AI技術を融合。太陽光パワコン、蓄電システム、EV充電設備といった次世代エネルギー製品を展開する。世界60カ国以上に進出し、豪州では家庭用蓄電でトップシェアを獲得するなど正にユニコーンとして注目を集めている。
国内においては「設置面積の確保と搬入課題」を解決すべくモジュラー型の蓄電システム『Sigen』シリーズを用意する。賑わいを見せる系統用だが、特に搬入に関して、大型蓄電池は特殊車両やクレーンが必要で、山間部などでは狭路や橋梁制約が課題となる。設置には地盤補強も要し、消防法などの規制対応も不可欠。輸送・据付コストや工期増大が懸念されている。実際に搬入問題で「案件がボツになるケースは多々ある」と言われている。
一方、同社の蓄電システム『SigenStack』とハイブリッドパワコン『Sigen Hybrid』は積み重ねと組み合わせにより柔軟設計が可能。DCカップリングによりケーブルと機器を削減。IP66と高い防塵・防水性能で屋外・塩害地域に対応。防火ユニットごとに保護機能、自動ネットワーキング化を備えるなど「併設型蓄電案件の課題を解決するだけでなく、CAPEX/OPEX共に安く、効率的で収益性の高いエネルギーマネジメントが可能になる」と説明した。
最後に再び壇上に立ったnovisの山口社長は、自社が販売店から専門商社として歩んできた歴史を振り返りながら、太陽光業界の進化を展望。「プレーヤーの多様化が進む中で、本当に価値ある製品やサービスを見極める“選定眼”がこれからの競争力を左右する」と指摘した。
2006年に設立した同社はオール電化の訪問販売店「京滋ソーラー」からスタート。東日本大震災を機に太陽光発電の取り扱いを本格化。2013年に前身となる法人営業部を設置。10期目となる2016年より商社novisとして展開。近年、オリジナルパッケージ『soluna(ソルーナ)』やEPC体制も整え、住宅・産業用・自家消費・系統用蓄電池など全方位で市場を牽引。販売先、取り扱いメーカー等との人間味ある共創を実現し年商215億円(2024年度)へと拡大させた。セミナーで登壇した2社とも深い。LONGiは国内に新規参入したばかりの2017年に取り扱いを開始。Sigenergyとは先般、中国で開催されたSNEC 2025にて協業を発表している。
脱炭素社会の実現に向け、発電と蓄電を一体で捉える動きが広がりを見せる。今後の製品選定基準を占う意味で、今回のセミナーは業界関係者の注目を集めた。
〔参考〕
▷LONGi Solar Technology
▷Sigenergy
▷novis