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【政策】環境省:「地域脱炭素フォーラム2025 in神戸」開催、全国から140名超が参集 『地域脱炭素2.0』に向け官民連携が鍵に

2025.06.08

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環境省は5月25日、脱炭素社会の実現に向けた地域発の取り組みを推進する「地域脱炭素フォーラム2025 in神戸」を神戸国際会議場にて開催した。対面とオンラインを併用するハイブリッド形式で実施され、会場には全国から約140名の行政、企業、研究者、金融機関などの関係者が参集。各地の先進事例、自治体や企業の役割などについて議論が交わされた。

本フォーラムは、2050年のカーボンニュートラル実現に向け全国9地域で開催されるもの。地域脱炭素化と地方創生の両立を目指し、官民連携を強化するのが狙い。初回は5月17日に横浜市、今回は第二回目となる。神戸市、京都市、南丹市、生駒市等の協力のもと開催された。

開会に先立ち勝目康環境大臣政務官が「我が国は2050カーボンニュートラル実現に向け2030年度46%削減目標を掲げているが本年2月に地球温暖化対策計画を改定し2035年度60%、2040年度73%を新たな目標として設定した。この野心的な目標の達成には地方公共団体が主導する地域脱炭素化の全国的な広がりが不可欠。また地域の課題解決や魅力向上に貢献する絶好の機会となる。約4年前の地域脱素ロードマップの策定以降、地域脱素化の動きは加速している。今後は実行段階『地域脱炭素2.0』の具体化に向け地域住民、事業者など多様な主体を巻き込みながら、この流れをさらに大きくし、全国へと展開していきたい」との意気込みを語った。

基調講演では京都大学公共政策大学院の諸富徹教授が登壇。「地域脱炭素のさらなる前進のための連携戦略」と題し宮古市・山形県・北九州市の先進事例を紹介。再エネ事業や地域新電力、広域連携を通じて官民協働の地域循環型モデルを提示した。続いて登壇したのは、気象予報士でキャスターの井田寛子氏。近年多発する異常気象と気候変動の実態を科学的根拠に基づいて解説した。

(出典:小紫 雅史 生駒市長 資料より)

その後のパネルディスカッションは2部構成で展開された。前半のセッションでは「脱炭素と地域課題の同時解決」をテーマに、神戸市の久元喜造市長、京都市の岡田憲和副市長、南丹市の西村良平市長、生駒市の小紫雅史市長が登壇。大都市から中山間地域まで、各地域の特性を生かした多様なアプローチが紹介された。注目を集めたのは小紫生駒市長の住民アンケート結果。曰く「脱炭素はだれも反対しないが優先度が低い。行動変容に繋げるには具体策が必要。であれば、何らかの施策を打った結果として脱炭素だったというのが望ましいのではないか」と現実問題を指摘した。

後半のディスカッションのテーマは「脱炭素と地域経済成長の同時実現」。シン・エナジーの乾正博社長、大阪ガスの植田信一常務執行役員、京都信用金庫の榊田隆之理事長、阪神電気鉄道の上戸健司常務取締役が名を連ねた。「地域脱炭素化、経済の両立は重要なテーマである一方、事業支援があると言えど、民間企業だけでコスト削減や収益性確保は難しい。もう少し公共が実施リスクを負うべきではないか」「環境省が主導する『デコ活』のような環境に取り組むことはカッコいいといった風潮を醸成したい」「国がやるべきだ、中小企業ではできないといった考えを変えていかなければならない。個人でできることも多くある。コミュニティとして共感する場を広げていきたい」「1企業だけでなく官民連携が欠かせない」など議論が白熱した。

最後に勝目康環境大臣政務官は「2030年度までを『実行集中期間』と位置づけ、『地域脱炭素2.0』の具体化を進めていく。米国がパリ協定から離脱といった表明もあるが、世界的にも気候変動は最重要課題であり、日本は2050年カーボンニュートラル実現に向けて官民連携を強化し、取り組みを加速させていく」と締めくくった。

【出典】
地域脱炭素フォーラム2025の開催について
地域脱炭素フォーラム2025in神戸