【ゼミ】日新電機:脱炭素社会を実現するエリアアグリゲーション技術と蓄電池を活用したエネルギー需給調整の新戦略とは?
住友電工グループで受変電設備や蓄電システムを手掛ける日新電機は再エネの効率的な活用と電力系統の安定化を両立する新たなエネルギーマネジメント戦略を打ち出した。9月26日に開催したオンラインセミナーで、同社とグループ会社の日新システムズが手掛ける「NEMOS(NissinSystemsEnergy Management Optimalization System)」を中心に、蓄電池を活用した需給調整や地域エネルギー最適化の取り組みを紹介した。
NEMOSは、太陽光発電、蓄電池、エコ給湯器、EV充電器といった分散型電源をクラウド上で統合管理するシステム。各拠点に設置するゲートウェイと連携し、遠隔から自動制御することで、分散電源を有効活用する。複数の電源を束ねる「アグリゲーション」により、地域単位での需給最適化や地産地消の推進が可能となる。
ネクステムズ社との協業で「宮古島市島嶼型スマートコミュニティ実証事業」にて地域マイクログリッドを活用した脱炭素モデルの実証と技術開発を進めてきた。再エネの大量導入と系統安定化の両立を目指す取り組みは、離島や地域分散型の電力供給モデルとして注目されている。
再エネ拡大が進む一方、系統の安定化には蓄電池やディマンドリスポンス(DR)を活用した柔軟な需給調整が不可欠。NEMOSはこうした課題に対応し、太陽光の出力抑制削減や災害時のレジリエンス確保にも寄与するという。
エネルギーアグリゲーション技術に加え、同社は系統用蓄電池にも注力する。ピークカットや余剰電力の自家消費だけでなく、DR対応や容量市場・需給調整市場への参入を通じて稼働率を高め、投資回収期間を短縮するビジネスモデルを提案する。企業の脱炭素化対応や電気料金高騰への対策、事業継続計画(BCP)の強化など、幅広い用途が期待される。
収益モデルが見えにくいと言われる系統用蓄電池だが、親会社である住友電工グループの技術力を背景に、受変電設備からシステム構築、申請支援までを一括提供し、事業者の導入負担を軽減する体制を整える。
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、分散電源の最適利用が鍵となる。日新電機は「日新一新」を掲げ、変化を先取りしたソリューションで次世代エネルギー社会の構築を後押しする構え。