【市況】次世代自動車・充電器市場2025:国内四輪車生産8.5%減、次世代自動車は6割に拡大もEV普及は課題残す
次世代自動車普及の行方へ如何にー。日本自動車工業会が公表した「自動車工業2025」によれば、2024年の国内四輪車生産台数は823万5千台と前年から8.5%減少した。新車販売台数も442万1千台と7.5%減にとどまった。四輪車保有台数は7,874万台と横ばい推移。平均使用年数は乗用車13.32年、トラック16.08年、バス19.18年。
一方で、次世代自動車は拡大基調にある。2024年の販売台数は225万815台と前年から増加し、新車販売の約6割を占めた。2009年に補助金や税制優遇などの普及策が導入されて以降、販売は右肩上がりを続け、2020年のコロナ禍で一時的に落ち込んだものの、再び増加基調に転じている。

(出典:資料より)
ただ、内訳を見ると、ハイブリッド車が200万台を超え全体の9割近くを占める。プラグインハイブリッド車は4万台規模、電気自動車(EV)は約6万台と前年割れ。燃料電池車は数百台と小規模ながら前年を上回ったが、依然として普及には遠い。クリーンディーゼル車は約14万台。市場の実態はハイブリッド一強であり、EVや燃料電池車の拡大はなお課題を残している。
政府はカーボンニュートラル2050の実現を掲げ、補助金や優遇税制を継続。充電設備や水素ステーションの整備も進める。自動車メーカー各社はEVや燃料電池車の投入を加速しているが、ユーザーが安心して利用できる環境の整備には時間を要する。インフラ整備や電力供給体制、電池リサイクル体制の構築など、多角的な取り組みが不可欠とされる。

(出典:HPより)
鶏が先か、卵が先か。次世代車普及の成否を左右するのが充電インフラと言われる。一方、車両が増えなければ設置は進まず、インフラが不足すれば需要は広がらない。ゼンリンの調査によれば、全国のEV充電スタンドは3万6,643箇所(急速1万860箇所、普通2万5,783箇所)。ガソリンスタンド数(約2万7,000ヵ所)を上回るが、充電に時間がかかり、1基を1台が長時間占有するため処理能力はまだ低い。
電動車両用電力供給システム協議会によると、2025年3月時点でコンセントタイプの累計出荷は200万台に迫る勢い。ケーブル搭載型は7万台を超え、それぞれ2020年以降は右肩上がりの伸びを見せている。クルマと家を双方向に接続するV2H(Vehicle to Home)は累計約3万台と規模は小さいものの、災害時の電源確保や再エネ利用拡大に資する「エネマネ機器」として期待が高まっている。

(出典:HPより)
国内四輪車市場は生産・販売がやや減少傾向にある一方、新車販売の6割を次世代車が占めるまで拡大した。ただ、実態はハイブリッド車が大半で、EVや燃料電池車の普及は限定的にとどまる。全国のEV充電スタンドは都市部への偏在や急速充電の比率の低さから利便性は十分でなく、地方や集合住宅では不足感が残る。家庭用充電器やV2Hの普及は進むものの、果たして。日本市場が世界のEVシフトや次世代化に追随できるか。今後の動静に注目が集まる。
〔参考〕
▷日本の自動車工業2025
▷ゼンリン:EV充電スタンドデータ数(単位:口数)
▷一般社団法人電動車両用電力供給システム協議会:出荷自主統計2025年3月実績
▷令和6年度末揮発油販売業者数及び給油所数