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【市況】ガス・石油機器市場2024:対前年比2.8%増4,026億円、省エネ・次世代型給湯器の普及じわり

2025.08.18

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(出典:自主統計 資料より作成)


2024年度のガス・石油機器市場は、能登半島地震や豪雨など自然災害の影響を受けつつも、在庫調整の進展や価格改定を背景に出荷額が回復傾向を示した。日本ガス石油機器工業会が取りまとめた自主統計資料「ガス・石油機器出荷実績(2024年度実績追加)」によれば出荷金額はガス・石油機器全体で対前年比2.8%増4,026億円と堅調推移した。

内訳を見るとガス機器の24年度出荷金額は3,259億円(同4.7%増)、販売シーズン当初からの暖冬傾向が影響し石油機器は767億円(同4.7%減)と対照的だった。総出荷金額の半数以上を占めるガス温水機器は1,956億円(同6.3%増)、台数ベースで284.2万台(同4.0%増)。過去の出荷過多に伴う在庫調整が進み需要を下支えした。

特筆すべきは省エネ・次世代型給湯器の動向。従来型に比べ熱効率を高めた「潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)」の普及が進む。同機種は従来型の熱効率が約80%にとどまるのに対し、排気熱を再利用することで約95%に向上。ガス使用量を年間で約14%抑制でき、東京都内の4人家族で都市ガスを利用する場合、ガス・電気料金は年1.2万円程度の節約となる等の特徴がある。CO₂排出量も削減できることから、家計負担の軽減と環境対策の両面で効果が期待されている。24年度の市場規模は970億円(同13%増)、103万台(同11%増)と二桁増で推移している。

次世代型もじわり。エコジョーズの省エネ性能を上回る機種としてヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)がある。高効率ガス給湯器、電気式ヒートポンプ、貯湯タンクの3つのユニットを組み合わせた構造で、ガスと電気のそれぞれの長所を活かした加熱運転を行うのが特徴である。標準的な4人世帯で、従来型ガス給湯器と比べ年間エネルギー消費量を約45%削減。ガス・電気料金は従来型ガス給湯器と比べ年間8万6780円の節約になると試算されている。

同機種に関しては23年度より自主統計が開始された。従来型・省エネ型に比べ市場規模はまだ小さいが24年度は3.9万台(同36%増)と出荷台数を伸ばしている。リンナイとノーリツが先んじて市場投入してきたが、今夏、パロマも新規参入に名乗りを上げたことから普及拡大に拍車がかかるとみられる。

〔参照〕
ガス・石油機器 出荷実績見込と出荷予測2025
ガス・石油機器 出荷実績(2024年度実績追加)
ハイブリッド給湯機
ガス高効率給湯器エコジョーズ