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【読解】経済産業省:DRready勉強会、ハイブリッド給湯機・家庭用蓄電池・EV充電の要件案を提示

2025.09.08

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経済産業省 資源エネルギー庁は8月28日、第6回DRready勉強会を開催し、次世代エネルギーシステムに不可欠なDR(デマンドレスポンス)対応要件の具体案を整理した。対象はハイブリッド給湯機、ヒートポンプ給湯機(参考:エコキュート)、家庭用蓄電池、EV充電・充放電の3分野。各機器が系統需給調整に柔軟に参加できる基盤をつくり、脱炭素と分散型エネルギー社会の推進を狙う。勉強会では業界団体や研究機関が提案資料を提出し、制度化や標準化の方向性を議論した。

■ハイブリッド給湯機の要件案
ハイブリッド給湯機では、通信機能・外部制御機能・セキュリティの3本柱が示された。まず通信面では、GW(ゲートウェイ)を介しDRサーバーと構造化データで接続できることが前提。外部制御では、DR可能量を送信し、DR要求に応じて沸き上げ開始時刻を受信・反映した計画を策定する能力が求められる。さらに消費電力データの送信、個体識別情報の保有も必須とされた。

セキュリティ面では、JC-STAR認証の★1以上を確保し、将来的には★2が求められる可能性を明記。通信先制限、認証、暗号化の徹底や脆弱性対策可能なプロトコルを条件に、メーカーサーバーとの安全な制御を保証する枠組みを設けた。従来の給湯機では系統との連携が限定的だったが、DRready仕様の導入により、需要調整リソースとしての役割が広がることになる。

(出典:資料より)

■ヒートポンプ給湯機(エコキュート)の要件案
エコキュートについては、2025年1月の第4回勉強会で提示された案が改めて参照された。基本的な構成はハイブリッド給湯機と同様だが、外部制御において「評価モードにおける1日の消費電力量の50%以上をDR可能とする」点が特徴。沸き上げ時刻の受信・計画策定、消費電力データの送信、個体識別情報の管理が必須要件とされる。

セキュリティ要件はJC-STAR★1以上を原則とし、暗号化・認証・通信先制限などを標準仕様とする。再エネ由来電力の利用拡大と系統安定化の双方をにらみ、エコキュートが大規模に普及する家庭部門での調整力強化を狙う。給湯機単体では微小な調整力に見えるが、数百万台規模で稼働することでVPP(バーチャルパワープラント)の主要リソースとして機能し得る。

(出典:資料より)

■家庭用蓄電池の要件案
家庭用蓄電池では、充放電の電力目標値と継続時間をDR要求として受信し、それを反映した制御を実行できる機能を重視した。充放電可能量やバックアップ用電力量の情報を送信する機能、充放電電力量の計測送信も必須。さらにDR終了後や通信途絶時には自律的に従来モードに復帰する仕組みを求めた。

セキュリティ面ではJC-STAR★1以上を基準とし、通信先制限、認証、暗号化を前提とした安全な制御を想定する。30分間隔以内での制御受信・実行が求められる点も特徴。自家消費型太陽光と連携する蓄電池はすでに市場で普及が進んでおり、これをDRready化することで昼間余剰の吸収や夕方ピーク時の放電が促される。系統全体で需給調整に寄与し、再エネのさらなる導入拡大を可能にする。

(出典:資料より)

■EV充電・充放電の要件と今後の検討
EV分野では、普通充電と急速充電を使い分ける「基礎充電・経路充電・目的地充電」の3シーンを定義し、それぞれに適したDR制御の方向性を示した。制御方式は充電器経由と車両経由の2類型に整理され、想定されるDRパターンを4種類提示。今後は充電器の規格や充放電対応可否を踏まえ、標準化と制度設計が進められる。

(出典:資料より)

大阪大学の西村委員は、EV-Grid連携・活用検討会の進捗を報告。自動車メーカー、アグリゲータ、送配電事業者が参加し、新ユースケースの検討を検討中と報告。すでに家庭用蓄電池のDRready要件と歩調を合わせ、車載蓄電池の活用も射程に入っている。今後、V2HやV2Gが制度的に位置づけられれば、EVは移動手段を超えてエネルギーシステムの一部として機能することになる。

今回の勉強会で示された要件案は、個別機器を超えて「需要側資源の共通仕様」を整備する第一歩と位置づけられる。機器メーカーやアグリゲータはこの要件を基準に対応機器を設計し、事業者はDRサービスを展開しやすくなる。標準化によって需要側リソース市場が広がれば、再エネ主力電源化と系統安定化の両立に資することになる。

(出典:資料より)

■JC-STAR(セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度)とは?
IoT機器のセキュリティを共通基準で評価・可視化する仕組みとして、2024年に経済産業省が方針を示し、IPAが運営を担う制度「JC-STAR(Japan Cyber-Security Technical Assessment Requirements)」。国内外の規格(ETSI EN 303 645やNISTIR 8425)と調和しつつ、日本独自の適合基準を設定し、製品のセキュリティ機能が一定水準を満たしているかを評価する。

制度は、IoT製品に求められる最低限の要件を定める★1(レベル1)から、重要インフラや政府機関向け製品を対象に第三者評価を義務づける★4(レベル4)まで4段階を用意。★1と★2はベンダーによる自己宣言方式で短期間・低コストで取得可能だが、適合性に疑義があればIPAが調査・取消を行う仕組みを備える。★3と★4は独立した第三者機関による評価報告に基づき認証する方式で、信頼性の高さが特徴。

適合製品には二次元コード付きの適合ラベルが付与され、調達者や消費者はセキュリティ機能や問合せ先などの情報を容易に確認できる。従来は製品のセキュリティ性能を外部から見極めることが困難だったが、ラベル制度によって透明性が向上し、調達時のサプライチェーンリスク管理にも資する。政府調達や企業の調達基準への活用も進むと見込まれる。

今回のDRready要件案でもJC-STAR認証を前提とした項目が盛り込まれており、分散エネルギー機器の普及と同時にセキュリティを担保する政策的枠組みとして位置づけられている。

(出典:HPより)

【出典】
第6回 DRready勉強会
セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR)
※本記事は一次情報をもとに生成AIを活用した要約です。詳細は公表資料をご確認ください。