特集Original Content

【ゼミ】NEDO:エネルギー・地球環境分野 成果報告会2025開催

2025.07.27

X line


国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は7月15日から17日の3日間、「2025年度NEDOエネルギー・地球環境分野成果報告会」をパシフィコ横浜およびオンラインのハイブリッド形式で開催した。対象分野は「水素・アンモニア」「再生可能エネルギー」「脱炭素技術」の3領域で、同時開催は今回が初となる。冒頭にはNEDO飯村理事が登壇し、「分野の垣根を越えた連携によるシナジー創出」に期待を寄せた。会期中は、口頭発表234件、ポスターセッション385件が実施され、研究機関・企業・大学など多様な関係者による成果発表が行われた。来場者は延べ3,000名を超え、オンライン聴講は1万1,500名以上にのぼった。

注目を集めたのは二日目。国策として期待値が高まるペロブスカイト太陽電池を中心に壁面・移動体設置型、マテリアルリサイクル、系統安定化対応、気象予測、清掃ロボットなど、幅広いテーマを網羅した。午前のセッションでは、NEDOが主導する「グリーンイノベーション基金事業/次世代型太陽電池実用化プロジェクト」における取り組みが紹介された。その後、積水化学工業、カネカ、エネコート、アイシン、東芝などが登壇し、軽量・高効率・設置自由度の向上などを実現するペロブスカイト太陽電池の量産・耐久性・実証技術に関する研究成果を報告。東京大学や産総研からは共通基盤技術の開発状況が示された。

午後は「主力電源化推進技術開発」枠として、都市部への展開やリサイクルなど社会実装を見据えた発表が続いた。東京科学大によるフィルム型超軽量モジュール、パナソニックの開口部向けBIPVモジュール(建材一体型太陽電池)、シャープの車両搭載用途、広島大学のシースルー有機薄膜モジュールなど、多様な設置形態への対応が報告された。トクヤマや産総研はモジュールリサイクル、安全ガイドライン、調整力確保といった社会実装面での研究成果を発表。日本気象協会は翌日・翌々日レベルの日射量予測技術を紹介。未来機械による清掃ロボット技術も披露された。次世代太陽電池の性能向上と共に、既存インフラへの柔軟な設置、リサイクル・予測技術の確立、系統安定化までを含む包括的な開発が進む様子がうかがえた。

〔参考〕
NEDO
「2025年度NEDOエネルギー・地球環境(水素・アンモニア/再生可能エネルギー/脱炭素技術)分野成果報告会」を開催しました