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【読解】ゼロエネ建築市場2024〔ZEH-M編〕:新設ゼロエネ集合住宅・マンション前年比8割増 約20万戸で急加速、ZEH化率4割超に到達

2024.12.29

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ゼロエネマンション普及の進捗は如何に。経済産業省と環境共創イニシアチブ(SII)は12月25日、第11回目となるネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)実証事業における調査発表会資料2024を公開。本稿では資料の後半部分にあたる集合住宅分野の市場動向にフォーカスする。

まずはプレーヤーの状況について。集合住宅・マンション分野におけるゼロエネ建築の牽引役ZEHデベロッパー登録数は253件(2024年12月末時点)。対応可能エリアは都道府県別新築着工件数や人口比率と相関して全国に分布している。前年より30件ほど増加しているが桁数に大きな変化はない。

新築住宅着工に対する供給力は合計約39万戸。2023年度の新設住宅着工数は約80万戸で、このうち一戸建住宅は約35万戸だった。厳密に分けられる訳では無いが差し引くと集合住宅・マンションは約45万戸。単純計算で市場カバー率はZEHデベロッパーだけで約9割ということになる。

対するZEH-M化はどうか。低層から超高層までのZEH-Mシリーズ(『ZEH-M』/Nearly ZEH-M/ZEH-M Ready/ZEH-M Oriented)合計は対前年比8割増の約20万戸と急加速。ZEH化率は約45%超えと算出できる。集合住宅においては差別化要素が乏しいことからスマートホーム化と共に提案要素のひとつになっているとみられる。各社の販売リリースには「ZEH-M」「宅配ボックス」「スマートホーム」などのキーワードが目立つ。

マンションオーナーへのヒアリングによれば約7割で「空室率改善効果がある」と回答。住まい手の選択要因としてはまだ弱いが、事業者サイドとしては「一般消費者の認知度が向上」「販売促進の後押しとなっている」傾向から市場の加速度は戸建部門よりも高いと言えそうだ。

〔参考〕
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業 調査発表会2024
集合住宅に係るZEH補助事業について(P145~)
ZEHデベロッパー一覧
建築着工統計調査 2023年度

〔関連〕
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