【独自】橋本総業HD&モデル・ティ:全国拠点に太陽光発電を設置、カーボンニュートラル率97%達成
老舗管材系大手商社 橋本総業ホールディングス。関連業界の一角を占める同社もまた脱炭素化を推進していることは言うまでもない。まずは自前から。21年より全国拠点に太陽光発電の設置を推進。このほどカーボンニュートラル率97%を達成した。
脱炭素化を手掛けたのはグループ会社で地産地消型電力事業を手掛けるモデル・ティ。2020年5月に設立された同社は初期費用ゼロ円で太陽光発電を設置するPPA(Power Purchase Agreement)を事業者向けに提案している。
代表を務める都倉尚吾社長は大手総合商社、電力会社にて長年、再エネ事業を手掛けてきた人物。「1990年代にフィリピンの水力発電開発で現地の電力会社と連携しPPAを構築」するなど業界に先駆けた実績をもつ。「2014年頃に海外で太陽光発電のグリッドパリティが実現。電力の世界が再エネに変わると確信し、国内での事業モデルの構築に動いた」と立ち上げ経緯を説明する。
グリッドパリティとは、太陽光発電によって生み出される電力の発電コスト(LCOE: Levelized Cost of Electricity)が、電力会社から購入する電力の価格(小売電力価格や卸売電力価格)と等しくなる、あるいは下回る状態を指す。従来、太陽光発電は初期導入コストが高く、石炭や石油など化石燃料を使用した発電よりもコストが高いとされてきた。
一方で、脱炭素化の潮流を背景に太陽光発電は急速に普及。スケールメリットによるコストダウンで今や太陽光発電は世界で最も発電コストの安い電源と言われている。
創業130年。橋本総業HDは管工機材、住宅設備、空調・給湯機器等を中心に北海道から沖縄まで全国に展開。24年3月期の売上高は過去最高1,556億円を記録するなど関連業界を牽引する一社として知られる。『四位一体(顧客・製造・流通・施工販売)』が『共に栄える』という成長戦略を掲げてきた。
業界全体の脱炭素化について「まずは自社から」そして「お客様へ」という方針で、全国の物流拠点・支店 約20箇所・合計で約1MWを設置。23年度の発電実績は1,094MWhを記録。総電力需要が1,123 MWhであったことから脱炭素化をほぼ実現した。本社ビルにおいては関東圏に設置した太陽光発電の余剰電力を託送することで使用電力を再エネ化している。
「初期費用ゼロ円で太陽光発電を設置するだけでなく、都市拠点への再エネ電力を供給する託送モデルも用意している。再エネ・省エネ化に資する給湯、蓄電、EV等を組み合わせるなどお客様にあったシステムを提案していくことで、業界全体の脱炭素化を進めていきたい」と話していた。